毎週土曜日に掲載されている朝日新聞書評欄から、気になったものをピックアップして掲載しています。毎週、幅広いジャンルが紹介されていますが、あくまでも私自身が「気になる」という視点で選んでいます。読書リスト的なページです。
今週はどんな本が登場しているのでしょうか?見て行きましょう。
一冊目はこれ!
うちの子が結婚しないので:垣谷美雨
「売れている本」のコーナーに掲載されていました。
垣谷さん、身近な社会問題をストレートに本のタイトルにしていますね。だから、ついつい、手に取ってしまいます。今回は「親が婚活代行の悲喜こもごも」ということで、書評は江南亜美子氏(書評家)
「結婚だけが道ではないと相対化する一方、それでもなお婚活に熱心なのは、ただ娘の幸せを願うからこそ。」と。
江南氏も最後に書いていますが、「至極まっとうな結論に救われる」。そうそう、垣谷さんの作品の着地点はだいたいそうなのですよね。ハラハラしたり、クスリと笑ったりしながら、着地点がきちんとある。本書も今の結婚事情を知るというだけでなく、現代の家族事情も覗ける一冊のようですね。
老後の準備を考え始めた千賀子は、ふと一人娘の将来が心配になる。 28歳独身、彼氏の気配なし。自分たち親の死後、娘こそ孤独な老後を送るんじゃ……? 不安を抱えた千賀子は、親同士が子供の代わりに見合いをする「親婚活」を知り参加することに。しかし嫁を家政婦扱いする年配の親、家の格の差で見下すセレブ親など、現実は厳しい。果たして娘の良縁は見つかるか。親婚活サバイバル小説! Amazon内容紹介より
2冊目です。
テレビ越しの東京史:松山秀明
「 東京」を舞台にした番組やドラマはこれまでどれだけあっただろう?ドラマで言えば「東京ラブストーリー」とか「ロングバケーション」とか、ちょっとおしゃれに切り取られたあのロケ地が今もサッと思い出せる。
書評は武田砂鉄氏(ライター)
「テレビなんて持っていない」という声がそこかしこから聞こえてくる今、テレビがもう一回、オリンピックが作る熱狂にすがろうとしている。それはだいぶ滑稽に思えると武田氏。
確かにテレビの存在がどんどん薄くなっていきますよね。ひとつのテレビを町中の人が集まって見た時代がなんだか微笑ましい風景だったりします。テレビ越しに見る東京の移り変わり、興味深いです。
人には、それぞれの東京がある。東京に行けばなんでもある。仕事も、モノも、夢も――。
なぜ東京だけが特別なのか。戦後日本を生きる人びとが記憶する首都イメージは、いつどのように形成されたのか。放送局や電波塔の立地、五輪中継の舞台裏、「編成」の概念や「月9」の誕生、お台場の歴史にいたるまで。膨大なアーカイブから戦後のテレビ史を丹念に掘り起こし、そこに見いだされ、演出され、記憶された〈東京〉なるもののかたちをたどる。Amazon内容紹介より
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三冊目はこれ。
かわいい夫:山崎ナオコーラ
新刊文庫のコーナーで紹介されていました。
この本、単行本はみつはしちかこさんの装丁画だったのですが、出版社が変わって装丁も変えたみたいです。新刊文庫で紹介されていましたが、単行本の方もかわいいので掲載しておきます。
ここ数年でナオコーラさんの生活もガラッと変わったそうで。文豪のお墓参りの本でもその様子をチラッと拝見していますが、こちらのエッセイでより深くナオコーラさんの日常に触れられそうです。
会社のように役割分担するのではなく、人間同士として純粋な関係を築きたい。布で作った結婚指輪、三回手を振る毎朝の見送り、流産、父の死、そして再びの妊娠…書店員の夫との日々の暮らしが作り出す、二人だけの結婚のかたち。読むだけで心が自由になる、話題の“愛夫家”エッセイ! Amazon内容紹介より
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前回のオリンピック、私は知らないのですが、あのころのテレビの存在と、今のテレビの存在、随分と変わったことを感じさせられました。そして、東京も。東京は1年ぶりに訪れたらガラッと変わっていたなんてことはざらにある。渋谷なんかは特に目まぐるしく変化している途中です。ちょっと書評を読んだだけなのに、様々な風景が思い浮かび止まらなくなったという今週の書評欄でした。
今週はここまでです。