えとせとら本棚

新しい本との出会いにわくわく。一冊の本から次の一冊へ。

【朝日新聞書評】2020年7月18日掲載分ピックアップ

 

 

毎週土曜日に掲載されている朝日新聞書評欄から、気になったものをピックアップして掲載しています。毎週、幅広いジャンルが紹介されていますが、あくまでも私自身が「気になる」という視点で選んでいます。読書リスト的なページです。

 

今週はどんな本が登場しているのでしょうか?見て行きましょう。

 

 

理由のない場所:イ―ユン・リー

理由のない場所

理由のない場所

 

 

 書評は伊藤せいこう(作家・クリエーター)さん。

 自分をなかなか許さない息子と対話し続ける母に何が訪れるのか。彼らは単純な和解の物語を選ばない。だがしかし、その人生のありように読者は胸をしめつけられるだろう。 これは本当の話なのだ。━━書評一部引用。

 

「BOOK」データベースより

16歳の息子が自殺した。もう存在しない子供との対話を続ける母―底なしの喪失感を実体験に基づいて描く衝撃作。PEN/ジーン・スタイン賞受賞。PEN/フォークナー賞最終候補作。

 

 死者と対話する。しかも親子で自分をなかなか許さない息子となると、精神的にかなりハードな内容なのだろうと想像がつく。しかも、実話というのだから。注目の作家ですね、一冊読んでおきたいところです。

 

 

 

2冊目です。

塀の中の事情 刑務所で何が起きているか:清田浩司

 

 書評は保阪正康(ノンフィクション作家)さん。

統計によると、刑務所人口は全体として減少している。一方で、社会福祉や社会教育の受け皿になることで、本来の「収容と隔離」「矯正と更生」という目的が揺らいでいる。清田書では職業訓練に重きを置く「塀のない刑務所」という試みも語られ、受刑者の表情にも落ち着きが戻っているようだ。時代と向き合う刑務所行政とは――。近代日本の定型が問い直されている現実を直視すべきだ。━書評一部引用

  

「BOOK」データベースより

今、塀の中では何が起きているか。増える一方の高齢受刑者と再犯問題、外国人受刑者、処遇困難者…。「塀の中はまさしく社会を映す鏡」。刑務所問題をライフワークとする記者が、その最新事情を徹底取材。社会が解決すべき問題は塀の中に凝縮されている。

 

新書ですが441ページ。結構なボリュームですね。というのも、筆者はテレビ記者として20年近く刑務所や少年院など30カ所余を取材してきたそうだ。タイトル通り、「刑務所の今」を知る1冊となりそうです。

 

 

 

この世とあの世 講演集大法輪閣編集部

この世とあの世 【講演集】

この世とあの世 【講演集】

  • 発売日: 2020/06/10
  • メディア: 単行本
 

 

 書評は横尾忠則(美術家)さん。

過去の因が現在の果、その現在が因となって未来の果がある。こうして生死輪廻がやまないと説かれるが、僕はこの生と死の流転のリズムに、壮大な宇宙摂理のようなものを直感して、ここにあの世とこの世を接続する法則を感知させられたように思う。
 自己の本体と宇宙の本体は本来一体のものであると自覚した時、解脱できるというのは、そのまま芸術の完成と一致する。知性の奥に末那識(まなしき)があり、その奥に阿頼耶識がある。人が見たり、直感したりしたことは阿頼耶識の蔵に移し込まれる。ここに蓄えられた情報によって未来に、どこに生まれるかが決定される。━━━━書評一部引用

 

Amazonより

私たちは死後どこへ行くのか? 研究者や僧侶ら11名が諸宗教の死生観を解説。浄土、天国、黄泉の国・・・一口にあの世といっても、仏教やキリスト教などの世界宗教と日本古来の素朴な民間信仰では見解が大きく異なる。仏教の説示だけをみても釈尊以来の無常・縁起の教えから空・唯識といった哲学的思考、日本の各宗派の教義まで、立ち位置が変われば幅広い解釈が可能だ。どの教えをどう受けとめるか、我々の人生観を揺さぶる一大テーマをこの一冊に凝縮。公益社団法人在家仏教協会主催のリレー講演を活字で再現。やさしい語り口の随所に各専門家の智慧が光る、今を充実して生きるための「来世」講座。

 

私たちは死後どこへ行くのか? という疑問。生きている限り答えは誰も出せないわけだけれども、なにか自分なりに「ここだ!」と来るものに来世に期待したいと思うけれども、どうなのだろう。

 

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今週は、見えないところを探る3冊になりました。

コロナで今、私たちの生活も明日は見えないものとなりました。でもどこかに出口はあるはず。そんな手がかりをこれらの本の中から見つけ出せそうな気がします。

 

ということで、今週はここまで。それではまた来週!