えとせとら本棚

新しい本との出会いにわくわく。一冊の本から次の一冊へ。

【朝日新聞書評】2020年8月8日掲載分ピックアップ

 

 

毎週土曜日に掲載されている朝日新聞書評欄から、気になったものをピックアップして掲載しています。毎週、幅広いジャンルが紹介されていますが、あくまでも私自身が「気になる」という視点で選んでいます。読書リスト的なページです。

 

今週はどんな本が登場しているのでしょうか?見て行きましょう。

 

 

不良:北野武

不良

不良

  • 作者:北野 武
  • 発売日: 2020/06/05
  • メディア: 単行本
 

 

 書評は押切もえ(モデル・文筆家)さん。

最後の乱闘場面は映画を観ているようだった。スピード感のある中にスローモーションの画が浮かび、伊藤咲子さんの歌が聴こえた。激しさの後に大きな喪失感とせつなさが残った。
血が飛び交うような争いや、自分の人生が大きく転落していく場面でも、主人公がそれを淡々と受け止め、どこか滑稽な他人事(ひとごと)のように描いているのが印象深かった。ここに北野さんらしさというか、映画作品やエッセイにも共通する、冷たく静かに燃える炎のようなかっこよさがある。━━書評一部引用。

 

Amazonより

四人の少年たちは、やがて大人になり、暴力と金の世界へ――。北野武のド直球勝負作となる青春バイオレンス小説!!
中学の入学式、いきなり喧嘩で相手を圧倒したキーちゃん。なぜか気に入られた茂は、埼玉出身の悪ガキ鈴木、魚屋の佐々木と共に四人で毎日遊びまわることになる。飲酒喫煙、喧嘩カツアゲから刃物を使った暴力沙汰まで、とにかく悪戯や悪ふざけを越えた遊びで悪名高い集団に。しかし中学も終わりに差し掛かった頃、キーちゃんは姿を消す。どうやらヤクザになることを決めたらしい。キーちゃんの代わりに番長と見られるようになった茂の立場は微妙に変化し、高校に入ってからも様々な火の粉が降りかかるようになる。ある日、揉め事の最中、茂にちょっかいを出し続けていた岡田の腹を佐々木が出刃包丁で刺してしまい――。チンピラから成り行きでヤクザの世界に入り込んでしまう少年たちの姿を描く、青春バイオレンス小説。表題作の中編「不良」に加えて、単行本完全書き下ろしとなる短編「3-4X7月」も収録。

 

たけしさん、先日テレビで、このコロナで色々な意欲が失われているって言ってけど、しっかり小説書いているじゃないですか!これはもしかして、コロナ前に書き上げたのかな?なにはともあれ、作品を作り続けるって凄いことだ。

 

 

 

2冊目です。

「山奥ニート」やってます。:石井あらた

「山奥ニート」やってます。

「山奥ニート」やってます。

 

 

 書評は本田由紀(東京大学教授・教育社会学)さん。

ここが合わず去っていった人、住民の中でのちょっとしたいざこざなども率直に書かれている。一度去っても、いつでもここに帰れることを支えに都会で働いている人もいる。このモデルがもっと増殖すればよいのにと思う。GDPには寄与しないだろう。でも、何より楽しそうなのだ、それが大事だ。━書評一部引用

  

Amazonより

ひきこもりとなって大学を中退し、ネットを通じて知り合ったニート仲間と2014年から和歌山の山奥に移住。以来、駅から車で2時間の限界集落に暮らしている。月の生活費は1万8000円。収入源は紀州梅の収穫や草刈りのお駄賃など。インターネットさえあれば、買い物も娯楽も問題なし。リモートの可能性をフル活用し、「なるべく働かず、面倒くさい人間関係から離れて生きていく」を実現したニートが綴る5年間の記録。

 

こういうのを読むと、ちょっといいなって思うけど、実際はやはり無理だろうなと、すぐに現実に戻る。ニートだからというより、いきなりの田舎暮らしは、合う合わないがはっきり分かれると思うので、個人的には読んでその世界を脳内で愉しむのが精一杯かな......。

 

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今週はバイオレンス青春と田舎暮らしの青春という真逆な生活の2冊でした。一緒に読めばバランスが保てそう?(笑)

 コロナの感染者が依然増え続いている中でのお盆突入ですね。楽しみにしていた帰省が叶わなかった方々にとって、本当に残念な夏になってしまいました。どうにかここを乗り切って、お正月休みは通常に戻れることを祈っています。

ということで、今週はここまで。それではまた来週!

 

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