えとせとら本棚

新しい本との出会いにわくわく。一冊の本から次の一冊へ。

【ラジオ】エレホン:サミュエル バトラー<中瀬ゆかりのブックソムリエ>2020年9月17日放送 

 

 

ニッポン放送あなたとハッピー!2020年9月17日放送分

 

新潮社の中瀬ゆかりさんが番組内のコーナーで紹介した本と、お話をざっくりまとめて載せていきます。

 

 番組はこちら!radikoでも聴けますよ!

 

毎回、話題の本が登場!さぁ、今週はどんな本と出合えるでしょうか?

早速見て行きましょう。

 

エレホン:サミュエル バトラー/武藤浩史(翻訳)

 

 

■著者略歴

バトラー,サミュエル
1835‐1902。19世紀後半に活躍した英国の作家。父は英国国教会の牧師、同名の祖父も名門パブリックスクールの名校長で聖職者。ケンブリッジ大学を卒業するも、父にならって聖職者になる道を拒み、当時の新興植民地ニュージーランドに入植、牧羊業で財を成し、帰国。絵画、作曲を学ぶも、文筆の道へ

武藤/浩史
1958‐。英文学者。慶應義塾大学教授。英国ウォリック大学大学院博士課程(Ph.D.)

━「BOOK著者紹介情報」より

  

内容

羊飼いの青年が開拓地を求めて挑んだ険しい山、その向こうに謎の国「エレホン」はあった。手づくりの清潔な街並みに住む人びとはみな優しく、健康的で美しい。でも、それには“しかるべき理由”があった。病める者、不幸な者が処罰される一方で、お金持ちは罪を犯しても心の迷いとして許される―。自己責任、優生思想、経済至上主義、そしてシンギュラリティ…150年前、自由主義経済の黎明期に刊行されたイギリス小説があぶり出す、現代人が見ることになりそうな未来、人間の心の暗がり。━━「BOOK」データベースより

 

 

 

 今週は、なんと150年前に書かれたイギリスの小説。

 

中瀬さん:

いま書かれたのかと思うような内容になっているんですね。何度か出版されてきたが、現在は入手困難な本になっていた。今の現状を見ていた担当編集者が「これはエレフォンを今の翻訳でもう一回出し直す意味がある」と、すごい情熱をもって出したもの。武藤先生の訳も素晴らしい。

 

ここでタイトルの説明。

 NOWHERE<どこでもない場所=ユートピア>を逆さに綴ったEREWHON「エレホン」。

そこから「エレホン」の国がどんな国なのか、具体的な例がたくさん取り上げられました。

 

中瀬さん:

例えば、芥川龍之介の「河童」とか、ジョージ・オーウェルの「1984」、ハックスリーの「素晴らしき新世界」など、エレホンの影響を受けているっていう。そういう目で、この前「河童」を読み出したら、「河童」もやっぱり影響受けてるなって。150年も前にこういう小説が書かれていたってことに本当に驚いた。

 

いろんなところで話題になっている。「150年前に書かれていたんだよ」ってことで、人の心を掴めるいい話題になります。

 

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エレホン

エレホン

 

 

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「病める者、不幸な者が処罰される」。放送内でも言われてましたが、「コロナに罹った者が責められる」みたいな今の状況と被る感じもあり、いろいろな意味で現在と照らし合わせながら読めそうな小説ですね。この本も読みたいけど、中瀬さんの話を聞いていたら、芥川の「河童」も読みたくなってしまった(-"-)これはやはり両方読まないとね(笑)

次回のブックソムリエは9月24日。

中瀬さんはTOKYOMXTVの5時に夢中!でもエンタメ番付のコーナーをお持ちで、そちらで紹介された本や映画も、姉妹サイトうずまきぐ~るぐるで紹介してますので、合わせてお楽しみください。

ではまた!