王様のブランチのBOOKコーナーで紹介された本を紹介します。
2020年12月5日分はこちら!!
今週の特集は辻堂ゆめさんの「十の輪をくぐる」です。
十の輪をくぐる:辻堂ゆめ
■内容
2021年へ!時代を貫く親子三代の物語
スミダスポーツで働く泰介は、認知症を患う80歳の母・万津子を自宅で介護しながら、妻と、バレーボール部でエースとして活躍する高校2年生の娘とともに暮らしている。あるとき、万津子がテレビのオリンピック特集を見て「私は・・・・・・東洋の魔女」「泰介には、秘密」と呟いた。泰介は、九州から東京へ出てきた母の過去を何も知らないことに気づく。
51年前――。紡績工場で女工として働いていた万津子は、19歳で三井鉱山の職員と結婚。夫の暴力と子育ての難しさに悩んでいたが、幼い息子が起こしたある事件をきっかけに、家や近隣での居場所を失う。そんな彼女が、故郷を捨て、上京したのはなぜだったのか。
泰介は万津子の部屋で見つけた新聞記事を頼りに、母の「秘密」を探り始める。それは同時に、泰介が日頃感じている「生きづらさ」にもつながっていて――。
1964年と2020年、東京五輪の時代を生きる親子の姿を三代にわたって描いた感動作!前作『あの日の交換日記』が大好評!!いま最も注目を集める若手作家・辻堂ゆめの新境地となる圧巻の大河小説!!━━Amazonより
■著者について
1992年神奈川県生まれ。東京大学卒。第13回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞し『いなくなった私へ』でデビュー━「BOOK著者紹介情報」より
辻堂さん:
東京オリンピックは今回が2回目なので、1回目との違いを書いてみたかった。オリンピックに対する捉え方や意味合いが、今と全然違うだろうと思った。色々調べて行くうちに、その時代に生きていた人のことも知りたいって自分が強く思って、絶対にこれは書きたいと。それで2つのオリンピックを三世代の親と子で繋いでいく話をと思いました。
辻堂さん:
本当はオリンピック直前に刊行しようと話していた。それがちょっと折りを見てってことで11月末に延期になりました。最後のシーンが今の状況になる前で終わっていたので、一文字も変えずに出版に至れて良かったなぁと思っています。
(ここであらすじ紹介)
辻堂さん:
わたしはずっとミステリばっか書いて来た。今回も構想段階ではまずミステリで話を考えていた。謎をすべて解き明かして真相に辿り着いて「これが真実だ」ってわかるのがミステリ。でも、人生の謎って死ぬまでに解き明かされるとは限らない。ずっとやりたかったことだったんで、すごく自分にとっても思い入れのある作品になりました。
万津子さんの愛がすごいなと思った。そこはどういった思いで書かれたのですか?
辻堂さん:
自分自身の覚悟でもあったかもしれない。どんな子だったとしても私はこういう母親になりたいっていう思いは少し入ったかな。より自分の体験をもって感情移入できるようになった。子どもがいる身になって改めて万津子を肯定できたという気がしました。
昭和と令和、二つの時代を貫く親子の人生を描いた感動作です。
<感想>
書き始めた時は、きっとこんな状況になるとは思ってもなかったでしょうね。そういう意味でも刊行される時期の調整など、題材が題材なだけに、本作が世に出るまで気持ち的にも大変だったんだろうなぁと。オリンピックが中止になるなんて、誰も想像できませんでしたものね。わたしも前オリンピックは知らない世代。本書を読んで昭和のオリンピックの雰囲気を感じてみたいと思いました。
それではまた来週!
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