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【王様のブランチ・BOOK】つまらない住宅地のすべての家:津村記久子/インタビュー(2021年4月10日 )

 

王様のブランチのBOOKコーナーで紹介された本を紹介します。

 2021年年4月10日分はこちら!!

 今週の特集は「つまらない住宅地のすべての家」津村記久子さんです。

 

つまらない住宅地のすべての家:津村記久子

 ■内容

とある町の、路地を挟んで十軒の家が立ち並ぶ住宅地。
そこに、女性受刑者が刑務所から脱走したとのニュースが入る。
自治会長の提案で、住民は交代で見張りをはじめるが……。
住宅地で暮らす人間それぞれの生活と心の中を描く長編小説。━━Amazonより

 

■著者について

1978年大阪府生まれ。2005年「マンイーター」(「君は永遠にそいつらより若い」に改題)で太宰治賞を受賞し、デビュー。08年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で野間文芸新人賞、09年「ポトスライムの舟」で芥川賞、11年『ワーカーズ・ダイジェスト』で織田作之助賞、13年「給水塔と亀」で川端康成文学賞を受賞。働くこと、生活することの実感をユーモアを交えて豊かに描き出す筆致は同世代の女性を中心に、世代を超えて共感を呼ぶ。著書は多数。最新刊は小説が『エヴリシング・フロウズ』、エッセイ集が『二度寝とは、遠くにありて想うもの』。━「BOOK著者紹介情報」より

 

兵庫県にお住いの津村さんにリモートインタビュー。

 

━━本作を書こうとしたきっかけは?

 

津村さん:

 速報とかで流れて来る「逃亡している人がこっちに向かってます」みたのがあるじゃないですか。あれを見て逃げ込んでこられるほうの人の気持ちをずっと考えていて。煮詰まっていたら「もう一緒に行きたい」って思う人も居るやろなとか、いろんな人がいろんな気持ちになるやろし、そういうのを小説に書けたらなぁって、十何年考えていて書きました。

 

(ここであらすじ)

 

 

 

━━10家族をどのように考えたのでしょうか?

 

津村さん:

2日に1家族ぐらい考える期間がありました。だいたい2か月くらい準備するんですけれども、どういう気持ちで生きているのか、どういう問題を抱えているのかとか、逃亡犯に対してどういう反応をするのか、プロフィールをまとめる作業が大きかった。そこから全然自分が知らなかった近所の人とか、関わるはずのなかった人たちが関わるということが書きたかった。

 

━━印象的だったのは、こういうこと(誘拐)を考える人も、自分と同じような面がたくさんあって、普通の人なのかもしれないと感じました。

 

 津村さん:

望は、世界はこうだろうというモノの見方に凝り固まっていると言うか、自分は意味あることをしなければならないと思い込んで誘拐しようとするんですけど、なんか自分一人で考えるほど世界って狭くないですし、思うほど世界は悪くないということを「生きているのって悪くないよね」って言われるのではなく、いろんな出来事と言葉の中からそれを見つけられるように書くのが目標だったので、それが書けて良かったなって。

 

人とのつながりのなかで起こる小さな奇跡を描いた物語です。

つまらない住宅地のすべての家

つまらない住宅地のすべての家

  • 作者:津村 記久子
  • 発売日: 2021/03/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 <感想>

津村さん、初めて拝見しました。関西弁で話す津村さん、とても気さくそうな方でした。それにしても、こうしてお話を聴いていると、作家さんって、いろんな部分に焦点を当ててそれを小説にしているんだなぁ....と、驚かされます。ボケっとテレビをただ見ているだけじゃなく、作品になりそうかどうか、常に考えているんだろうなぁと。たまに、「この話、小説にしたら面白そう」なんてことをわたしも考えますけど、そこから構想練って、登場人物ひとりひとりを考えて...とかはとても無理。果てしない作業が続くかと思うと、やっぱりもの書く人ってすごいよなぁと感じずにはいられません。

本書もたくさんの家族が登場。津村さんが考え抜いた人々の姿は見ものです。

 それではまた来週!

 

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