王様のブランチのBOOKコーナーで紹介された本を紹介します。
2021年年7月17日分はこちら!!
今回は第167回芥川賞・直木賞の受賞者の会見コメント及びインタビューです。
まずは芥川賞を受賞した李さん。
彼岸花が咲く島:李琴峰
■内容
その島では〈ニホン語〉と〈女語〉が話されていた
記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。不思議な世界、読む愉楽に満ちた中編小説。━━Amazonより
■著者について
1989年台湾生まれ、15歳から日本語を習い始め、同じころから中国語で小説創作を試みた。 台湾大学卒業後、2013年来日、早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程入学、のち修了。 2017年、初めて日本語で書いた小説「独舞」(のち『独り舞』に改題)で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞し、作家デビュー。━Wikipediaより
(記者会見では...)
李さん:
母語ではない言語で小説を書く、そもそも生活をするのも大変だし、小説を書くってなると本当に大変ですよ。日本文学を確実にアップデートしている。アップデートしたという自負はあります。
続いて芥川賞受賞の石沢麻衣さん。
貝に続く場所にて:石沢麻衣
■内容
コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。静謐な祈りをこめて描く鎮魂の物語。 ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人を隔てる距離と時間を言葉で埋めてゆく、現実と記憶の肖像画。第64回群像新人文学賞受賞作にして、第165回芥川賞受賞作。--Amazonより
(群像新人文学賞 選評より)
記憶や内面、歴史や時間、ここと別のところなど、何層にも重なり合う世界を、今、この場所として描くことに挑んでいる小説ーー柴崎友香氏
人文的教養溢れる大人の傑作。曖昧な記憶を磨き上げ、それを丹念なコトバのオブジェに加工するという独自の祈りの手法を開発した――島田雅彦氏
犠牲者ではない語り手を用意して、生者でも死者でもない「行方不明者」に焦点を絞った点で、すばらしい。清潔感がある。――古川日出男氏より
■著者について
1980年、宮城県生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、ドイツ在住。2021年、「貝に続く場所にて」で第64回群像新人文学賞を受賞。同作が第165回芥川賞候補作となる。--Amazonより
(ドイツ在住の石沢さん、リモートでの記者会見)
石沢さん:
うれしいというよりは、とても恐ろしいという気持ち、これがどちらかというと非常に強い感じがいたします。
続いて直木賞受賞の佐藤究さん。
テスカトリポカ:佐藤究
■内容
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。--Amazonより
■著者について
1977年福岡県生まれ。2004年に佐藤憲胤名義で書いた『サージウスの死神』が第47回群像新人文学賞優秀作となりデビュー。’16年『QJKJQ』で第62回江戸川乱歩賞を受賞。’18年、受賞第一作の『Ank:a mirroring ape』で第20回大藪春彦賞および第39回吉川英治文学新人賞のダブル受賞を果たす。 --Amazonより
佐藤さん:
「ダークナイト」って映画があって、(編集者から)そういうようなド派手な犯罪小説を書いてくださいと言われた。どういう風にしようかと考えたときに、国際的なヤバい犯罪の人たちが、理由があって日本のある町に来るなら説得力があるかなって思って。
(ここであらすじ紹介)
佐藤さん:
僕の友達で危険地帯に詳しいジャーナリスト・丸山ゴンザレスさんがいます。彼は麻薬の密売人をスペイン語でナルコっていうんですけど、かつてナルコの取材に行っている。
--佐藤さんが麻薬や犯罪の描写にこだわる理由とは?
佐藤さん:
海の向こうにいるような恐ろしい人たちの作り出した犯罪が、僕らの手の届くところにある。そういうことが読者の皆さんに伝わるように書いた。
<感想>
つい先日、受賞式を見たばかりなのに「もう?」ってくらいまた次の発表。まったくもってついていけない状態です(笑)王様のブランチでのインタビューは佐藤さんだけでした。この作品、結構話題になっていたので、ご本人のお話が聞けて良かったです。
丸山ゴンザレスさんとお友達ということで、リアルな話をたっぷり聞きこんだみたいですからね、相当ディープな世界が描けているんだろうなぁと思います。
今回は台湾出身の李さん、ドイツ在住の石沢さん、そして、佐藤さんの作品も海外。
グローバルな感じの165回でしたね。
ブランチでは紹介はされませんでしたが、直木賞受賞の澤田瞳子さんの「星落ちて、なお」も気になります。
それではまた来週!
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