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【王様のブランチ・BOOK】羽田圭介さんインタビュー<Phantom>(2021年8月7日 )

 

王様のブランチのBOOKコーナーで紹介された本を紹介します。

 2021年年8月7日分はこちら!!

 今週の特集は羽田圭介さんの「Phantom」です。

Phantom:羽田圭介

 ■内容

外資系食料品メーカーの事務職として働く元地下アイドルの華美は、生活費を切り詰め株に投資することで、給与収入と同じ配当を生む分身(システム)の構築を目論んでいる。恋人の直幸は「使わないお金は死んでいる」と華美を笑うが、とある人物率いるオンラインコミュニティ活動にのめり込んでゆく。そのアップデートされた物々交換の世界は、マネーゲームに明け暮れる現代の金融システムを乗り越えゆくのだ、と。やがて会員たちと集団生活を始めた直幸を取り戻すべく、華美は《分身》の力を使おうとするのだが……。金に近づけば、死に近づく。高度に発達した資本主義、その欠陥を衝くように生まれる新たな幻影。羽田圭介の新たな代表作。━━Amazonより

 

■著者について

1985(昭和60)年、東京都生れ。明治大学商学部卒業。2003(平成15)年、「黒冷水」で文藝賞を受賞しデビュー。2015年、「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞受賞。他の著書に、『走ル』『ミート・ザ・ビート』などがある。━新潮社著者プロフィールより

 

━━執筆は7年も前だとか?

 

羽田さん:

専業作家になって収入が会社員くらいの時もあれば、280万円ぐらいしかない年もあって....。安定しないってことで、もうちょっと増やせないかなと思って、株式投資をちょっと始めた。

 

それやって1年半くらいたった時に「Phantom」を書き始めて、その時芥川賞取ったんです。一気に忙しくなったのと、自分が忙しくしていれば、そんなにチマチマ株で増やそうとしているのとかどうでもよくなってしまって。なんか感情移入できなくなったんですよ。

 

そこで5年間執筆を中断しちゃうんですね。本の印税とか入って来て、これで稼いでいけば幸せな人生が送れるかもしれない、っていうアゲアゲな気分なわけですけれども、でも別にお金が貯まってもたいして使わない。

お金に対する幻想を持つ人への違和感から小説を書き始めた。5年経ったら書けるようになって書き上げたって感じですね。

 

 

 

 

(ここで内容を紹介)

 

羽田さん:

明日事故で死んじゃうかもしれない。将来って本当に訪れるか分からない。時間と切り離して考えることはできない。

 

人間は追い詰められたりとか、どんどん微妙になっていくと、這い上がろうして足掻く。そうすると視野が狭くなる。人とのつながりの中で何か違うなと思った時は、そこから離れたり「それは違うよね」と意見を言う必要があると思う。「お金なんて必要ない」って言っても、お金を持ってなかったら、離れようとしてもなかなか離れることができなくなってしまう。

 

現代社会の価値観を見つめなおすきっかけになる物語です。

 

 <感想>

羽田さん、又吉さんと芥川賞を同時受賞してから随分と年月が経ったのですねぇ。感覚的にはつい最近といった感じなんですけどね。本作は一度執筆を中断されていたものだとか。間をあけて再び書く。こういうことってあるんですね。

読み手にもその時に読めなかった本が後に読めるようなったなんてことがある。書き手にもそういう時期みないなタイミングがあるということなんでしょうね。本当、執筆活動も人それぞれ。毎回様々な執筆スタイルがあることをインタビューから教えられます。  それではまた来週!

 

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