王様のブランチのBOOKコーナーで紹介された本を紹介します。
2022年9月10日こちら!!
■夜の道標:芦沢央
■内容
1996年、横浜市内で塾の経営者が殺害された。早々に被害者の元教え子が被疑者として捜査線上に浮かぶが、事件発生から2年経った今も、被疑者の足取りはつかめていない。殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受け、半地下で暮らす殺人犯から小さな窓越しに食糧をもらって生き延びる少年。それぞれに守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を見せていく――。『火のないところに煙は』『汚れた手をそこで拭かない』の著者による、慟哭の長篇ミステリー。(Amazonより)
■著者について
1984年東京都生まれ。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。『火のないところに煙は』が静岡書店大賞を受賞。吉川英治文学新人賞、山本周五郎賞、本屋大賞、直木賞など数々の文学賞候補にノミネートが続いている。著書に『許されようとは思いません』『カインは言わなかった』『汚れた手をそこで拭かない』『神の悪手』など。(Amazonより)
■インタビュー
―――芦沢さんのミステリ作品が本当に大好きで!
芦沢さん:
嬉しい!!!
まずは、花恋が恋した一冊の紹介。
―――実はこの作品が芦沢さんを読んだデビューだったんですけど、ミステリーってこんなにすごいんだ!ってっていうのを改めて知りました。最後の一文で全部が反転して、その場ですぐに戻って、そこに散りばめられている単語ひとつひとつに別の意味が見えてきて...。
芦沢さん:
「びっくりさせてやろう」ばかりになると、びっくりはするけど、後に何も残らないことになる。読んでいて見える景色が変わることがその物語にとって意味がある。それが大事だと思っているので、そこはこだわっています。
―――芦沢さんの作品を読ませていただく中で、日常の中にあるちょっとした何かが、こんなにも大きくもう引き返せないところにきてしまうのか、ってことが多くて、夢中になって読みました。
(ここからは最新作について)
芦沢さん:
色々な短編とか長編を書いてく中で、積み上げてきたものがあったからこそ書けた話。すごく大事な一冊になりました。
この話はいくつかのシーンが見えた。この人なんでこの部屋にいるんだろう?とか、それを私が探って行く。なんか自分で作った話と言うよりは、元からあった話を掘り起こして書いていく感じ。私自身も書いていて驚くことが多くて、最初から最後まで止まらなかった。
―――阿久津さんと波留君のシーンは、凄く印象に残っていて、はたから見たら怖ろしい状況だと思います。
芦沢さん:
阿久津っていう人が悪いことをしたというのは確かなんですけど、彼が2年間いたからこそ波留と出会えて、波留を救ったのは紛れもなく阿久津。阿久津にとっても波留との出会ったことはすごく救いになったんじゃないかと思っていて。阿久津の視点をどこまで書くかは悩んだところ。第一稿ではけっこう書いていたんですよ、実は。事件当日に何があったかとか、何を思っていたのか、物語を分かりやすく解決する役でしゃべらせてしまうのは、損なわれるものがある。で、大胆にバサッと削ってこの形になりました。
―――芦沢さんの作品の中で、そぎ落としていくことがポイントになってくるものですか?
芦沢さん:
鋭い!今年デビュー10周年なんですけど、最初のころはとにかくがむしゃらに書くことしかできなくて、何を書くかよりどう書くかに意識がシフトしてたけど、(今は)何を書かないかっていうところに意識が行くようになった。
―――そぎ落とされていたりする部分で、いっぱい考えましたし、考えれば考えるほど苦しくなったりとか、人間の気持ちがより深く見えたりとか、本当に出会えて良かった一冊です。
芦沢さん:
うわぁーうれしい!
*生きづらさ抱えた人々の物語が繋がっていく。辿り着いた真相が胸に迫って来る珠玉のミステリーです。
■感想
久々、花恋さんのコーナーでした。毎回、作品に対してこれくらい丁寧にインタビューしていただけると、作品の魅力がより一層伝わって来ると思いました。今回のインタビューで、書くことの過程を深掘りされていましたが、これが大変興味深いものでした。削っていない最初の原稿とはどんな感じだったのか?....なんてことも想像しながら本作を読むのも楽しそう。それでは、また来週!
過去のテレビ棚一覧は、こちらからどうぞ!
■本日取り上げられた書籍 の一部
登録者数を伸ばす戦略を公開
池井戸潤さんの最新作