<中瀬ゆかりのブックソムリエ2023>遠い家族―母はなぜ無理心中を図ったのか―:前田勝著を紹介。
ニッポン放送あなたとハッピー!2023年5月日11放送分
新潮社の中瀬ゆかりさんが番組内のコーナー紹介した本と、お話をざっくりまとめて載せていきます。 番組はこちら!radikoでも聴けますよ!
毎回、話題の本が登場!さぁ、今週はどんな本と出合えるでしょうか?早速見て行きましょう。
遠い家族―母はなぜ無理心中を図ったのか―:前田勝
作品内容
18歳の春、母が義父を殺して自死した。あれから16年、ひとり取り残された僕は母の生涯を辿る旅に出た。日本に出稼ぎに行った韓国人の母を求めながら、韓国と台湾で暮らした幼少期。日本で母と義父と過ごした中高時代。そして、「あの日」までの経緯。母親に愛されたいと願った息子が心中事件の背景を綴るノンフィクション。(Amazonより)
放送内容
以下、番組内の話の要点になる部分を簡潔に載せています。
・冒頭からものすごい状況が描かれる。義父を殺した母。母もまた飛び降り自殺を図る。
・複雑な家庭環境で育つなか、言葉も解らないまま日本に来た前田氏。
・淡々と冷静な筆致で語られるおいたち。しかし、その内容は壮絶。
・文章が上手いので中瀬さんはライターがまとめたのか担当者に聞いたところ、ものすごく苦労しながらご本人が書いたということにまずびっくりした。
・加害者の息子になってしまったため、義父の親族から恨みの言葉を浴びる。
・しかし、自分の母親を決して否定しない前田氏。
・母の遺書には「人生捨てたものじゃない」と書かれていた。内容も少し不思議なもの。
・自身の事件のことを舞台化し演じたりしている。
・人はこんなに辛い目に遭っても、ちゃんと再生していくってことの貴重な記録。
・色々辛いことがあっても、彼に比べれば大したことじゃないことでへこんでいたことに気づく。
・本を読んで、それでも人生は続くし、顔を上げて生きていくんだ...ということを強く語り掛けられた気がしました。
前田勝プロフィール
1983年、韓国人の母と台湾人の父の下、韓国で生まれる。7歳まで韓国、12歳まで台湾で暮らす。日本人と再婚した母に呼ばれて12歳で来日。大学入学直前、母が義父を殺して無理心中を図る。大学中退後、東京NSCに入学。卒業後は舞台俳優となる。客演の傍ら劇団を主宰し、母の事件を描いた舞台を上演。2018年、ドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」に出演し、母の生涯を辿る。同番組は北米最大級のメディアコンクール「ニューヨーク・フェスティバル2019」ドキュメンタリー・人物伝記部門で銅賞を受賞。2021年『茜色に焼かれる』(石井裕也監督)で映画初出演。舞台にも立ち続けている。(新潮社著者プロフィールより)
感想
前田勝さん、ご存じでしょうか?私はネットで検索して確認しましたが、存じませんでした。話の内容から年輩の方を想像していたのですが、1983年生まれとのこと、まだ40歳くらいの方だったのですね。いやぁ..なんか絶句です。色々調べていたら、フジテレビのザ・ノンフィクションの番組でも取り上げられたみたいですね。前田さんがそのような経験を持ちながら演ずる舞台の方も気になりました。それでは、また来週。
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