王様のブランチで紹介された作家のインタビューをまとめて掲載しています。
インタビュー
―――なぜ青春小説を?
岡本さん:
「僕の悲しみで君は跳んでくれ」というタイトルが、8文字、8文字なんですよ。短歌は5.7.5.7.7じゃないですか。下の句で使えそうだなとブログに書いたら、それを見た編集者さんが、「小説のタイトルでいけそうです」という言葉をいただいた。それで音楽をやる主人公が「跳ぶ」部分で書けそうだと感じた。
―――ラストのステージに自分もその場に一瞬いて、彼らと一緒に心を通わせながら見ている感覚で泣きました。「青春の延長戦」という文言がすごく素敵だなと思いました。なぜもう一度という描き方をしたんですか?
岡本さん:
僕も学生時代からの仲の良い友達がいないわけではないけど、仕事を始めたり、環境が変わっていく中で疎遠になったり、切ない気持ちになる。この5人には中庭がなくなると聞いたときに、みんなで同じ方向を向いて、同じように壮平のライブをやるんだっていう風に動いて行って欲しいという思いが一番強い。
学生時代に素晴らしい瞬間や素敵な瞬間はあったけど、日常の嫌なことに埋もれてしまって不平不満を言ってしまいがちですけど、素晴らしい記憶も同じようにあったわけですから、そういうことを描きたかった。
―――ラストに衝撃的な展開があるじゃないですか。胸が苦しくなった。その後のラストステージで泣きました。
岡本さん:
ライブのために動いてきたから、何とか成立させたい。その中で、精神的に跳ぶというか、あそこで成長して跳ぶことができたらいいなという思いを込めている。
*大人になって流されていく日々の中であの時の青春がよみがえる1冊です。
岡本雄矢プロフィール
1984年北海道生まれ。歌人であり、芸人。お笑いコンビスキンヘッドカメラとして活動。 トホホな日々を、切なくも温かい目線で詠んだ短歌が共感を呼び、北海道新聞ほかで連載を持つ。短歌とエッセイを収録した初の著書『全員がサラダバーに行ってる間に全部のカバン見てる役割』(小社)では、俵万智さん、穂村弘さん、板尾創路さんからアツい推薦文が寄せられた。その他の著書に『センチメンタルに効くクスリ トホホは短歌で成仏させるの』(小社)。本書は、初の小説となる。(Amazonより)
ひとこと
本日の話を聞いていて、作者の岡本さんご自身が、本の中でもう一度青春をしたんだなぁ~って感じがとてもしました。嫌なことや、忙しさに埋もれてしまったあの輝いていた青春の日々をもう一度。主人公たちと自分の青春時代が交差する瞬間がありそうな1冊ですね。それでは、また来週。