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【王様のブランチ】貫井徳郎さんインタビュー<不等辺五角形>(2025年7月12日 )

 

王様のブランチで紹介された作家のインタビューをまとめて掲載しています。

 

不等辺五角形

不等辺五角形

インタビュー

 

―――関係者の証言だけで作られた物語というのが、すごく新鮮でした。

 

貫井さん:

最後にビックリがあるんですけど、今回は小説形式もそうだし、ミステリとしても新しいことに挑戦してますので、自分の領域を広げられた作品かなと思います。

 

 

 

 

 

―――自分が弁護士になって話を聴きにいっている感じで、没入感がありました。

 

貫井さん:

ミステリの場合は地の文(物語などの会話やセリフ以外の文)では嘘は書かれていない。でも地の文がないってことは、何が本当か最後まで読者にははっきりわかるように書けない。だけども真相がわかるようにしなければいけなかったのが大変なところ。と、今回は事件が起きて、関係者三人が延々と思い出話をするだけなんですね。第二、第三の事件が起こるわけではなくて、ひたすら思い出話をする。これが事件と何の関係があるのと思う方がいると思うんですけど、実はこのひとつひとつの思い出話が、事件の真相に関係している。

 

―――普通のミステリではみんなが本当のことを言っている前提で読むから、証言を聴けば聞くほど真相に近づきそうなのが、今作では聞けば聞くほどちょっとわからなくなる。っていう部分が新しいなと思いました。

 

貫井さん:

友達同士で殺害事件が起きたなんて動転しているので、記憶が確かなほうがおかしい。記憶ってあとから思い返して作っちゃう部分がある。AとBが両方間違っている可能性もある。

 

―――冒頭の意見の食い違いが起きたことで、これは信用できないんだと身構えました。最後のあの人の独白によって、すべての事件の全体像が見えて来るのが、すごくゾクゾクしました。

 

貫井さん:

そこは狙ったんで、ちゃんと効果が出てたんならよかったです。

 

*関係者の証言で展開される息を飲む心理劇の結末は....。

不等辺五角形

不等辺五角形

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貫井徳郎プロフィール

1968年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年に『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞を、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞を受賞。『光と影の誘惑』『プリズム』『愚行録』『ミハスの落日』『明日の空』『新月譚』『ドミノ倒し』『私に似た人』『邯鄲の島遥かなり』『紙の梟 ハーシュソサエティ』など著作多数。(Amazonより)

ひとこと

次々と殺人事件が起きていくような展開なのかな?と思いきや、そうではなく、ただひたすら関係者の証言のみで進んでいく。しかも、読者はひたすら彼らの思い出話を聴いていく感じだとか。一体、こからどんなミステリーが展開されるのか、これはちょっと読んでみないと分りそうもありません。最後のビックリも気になります。それでは、また来週。

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