王様のブランチで紹介された作家のインタビューをまとめて掲載しています。

インタビュー
似鳥さん:
毎回新しいことをしようと思っているんですけど、いつもとテイストが違いまして、冒頭から「え?それは何事?」ってなるようなものを書こうと。結構、出来たんじゃないかな。
―――フィクションなのにフィクションとは捉えられないリアルさが怖かったです。
―――「裁判の中継がエンタメになる」というのが、すごく新鮮で驚きました。
似鳥さん:
「本当にここで一人の人生が決まっちゃうんだ」っていうのは、ドキュメントで同じことをやっているわけで、それゆえに面白い。コンテンツ化しちゃう可能性は十分にある。みんなが面白いと思ってくれば、ほら、みんなが面白いって言うんだからコンテンツになるじゃないか。深く考えもせずに進んでしまうことは、十分に考えられる。っていう風に思いました。
裁判に民主主義を入れることはかなり怖い。だけど、それに反対しようとしたときに、「みんなで決めることに反対なんですか?」って言われちゃうと勝てない。それが通ってしまうなってことで、やっぱり怖いですよね。書いていて怖かったです。
なんでもかんでもみんなで決めていいの?そのみんなってどれだけ責任を持って調べて発言している?あなたがその立場でみんなで決められたらどうする?ってところまでは、そんなに深く考えないまま流れて行ってしまうと、起こり得るんじゃないかなという気もします。
―――真実は別にあるけど、面白ければいいでしょ?っていうのが、怖っ!って思いましたね。
似鳥さん:
実際にエンタメとしてコンテンツ化されてしまうと、客観的に正しいこととか、法的な制度が何のためにあって、どうしてこうしなきゃいけないのか、要するに小難しい部分はすっ飛ばされて、だってみんなが楽しいんでいるからいいじゃん!何がいけないの?って進んでいってしまうと、やっぱり止められないと思うんです。社会で異常なことが起こって、理不尽なルールがまかり通っている。まかり通っていても日常は回っていってしまう空気の怖さ。
結構、作中おかしい状況になっているのに、日常が回っていて、みんなも特に関心を持たないまま済んじゃっているですよ。異常事態ってそういう形で来るぞって雰囲気を書きたかったっていうのがすごくあります。
*空気で真実が決まる社会で、正義を貫くことができるのか?当たり前を見直したくなる1冊です。
似鳥鶏プロフィール
1981年千葉県生まれ。2006年『理由あって冬に出る』で第16回鮎川哲也賞に佳作入選しデビュー。魅力的なキャラクターやユーモラスな文体で、軽妙な青春小説を上梓する一方、精緻な本格ミステリや、重厚な物語など、幅広い作風を持つ。デビュー作を含む「市立高校」シリーズや、「戦力外捜査官」シリーズ、「楓ヶ丘動物園」シリーズなど、複数の人気シリーズを執筆している。他にも『叙述トリック短編集』『推理大戦』など多くの著作がある。(Amazonより)
ひとこと
インタビューを聴いていて、どんどん怖くなっていったという印象です。本当にこんなことになったら......でも、もうこんな状況が近くまで来ている気がしてゾっとしました。法の世界までもがこんなことになったら.....。色々考えさせられる1冊だと思いました。それでは、また来週。




