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【王様のブランチ】一穂ミチさんインタビュー<アフター・ユー>(2025年11月29日 )

 

王様のブランチで紹介された作家のインタビューをまとめて掲載しています。

 

アフター・ユー (文春e-book)

アフター・ユー (文春e-book)

インタビュー

―――今作で描かれているのが、恋人たちの喪失と再生。こういったテーマを決めたきっかけは?

 

一穂さん:

自分自身が年齢を重ねていく中で、大切な人と死に別れる、生き別れてしまうってことの重みをリアルに感じるようになりまして、考えるだけで寂しいし辛いですけれども、誰にでも絶対に訪れる瞬間を一度小説という形ではっきりと自分自身が向き合ってみたかった。

 

―――読み終えた後に、最後に心がじわんと温かくなるような登場人物たちの愛が胸に残ってって、すごく心が揺さぶられました。

 

 

 

 

―――物語のカギとなる多実と繋がる公衆電話、これはどういったところからアイデアが?

 

一穂さん:

結構昔にそういうアイデアが自分の中にあったんですね。もう別れてしまった人と公衆電話で1日1回だけ喋れる。それは形にならなかったんですけど、「アフター・ユー」を書くときに、ファンタジックな要素ではあるんですけれども、ひと匙加えると、小説のアクセントとしては面白いのかなと思って、そこだけ非現実的ではあるんですけれども、自分の中では結構好きです。

 

―――ラストにどんどん謎が明かされていく展開で目が離せなくなった。

 

一穂さん:

作中では10日くらいの出来事。そんな簡単に人の気持ちって整理がつかない。辛いことは辛いままで、悲しいことは悲しいまま。どんな別れが来たとしても、全くの後悔がないってことはできなくて、でもそれって自分ひとりじゃなかった証拠でもあると思う。そういう当たり前のことを噛み締めていくしかないんだなって。

 

*大切な人を亡くしたことから改めて愛とはなにかに正面から向き合う1冊です。

 

 

 

 

一穂ミチプロフィール

2007(平成19)年「雪よ林檎の香のごとく」でデビュー。2022(令和4)年『スモールワールズ』で吉川英治文学新人賞、2024年『光のとこにいてね』で島清恋愛文学賞、『ツミデミック』で直木賞を受賞した。(新潮社・著者プロフィールより)

ひとこと

突如として理由も分からず大切な人を失う喪失感、これはきついですよね。でも、どんな形であれ、いつかは大事な人との別れは誰にでも訪れる。なかなかそういうことは考えたくないですが、小説の中で少しだけでも向き合ってみるのもいいかもしれませんね。それでは、また来週。

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