王様のブランチのBOOKコーナーで紹介された本を紹介します。
2023年4月22日放送分は こちら!!
■くもをさがす:西加奈子
■内容
『くもをさがす』は、2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、乳がん発覚から治療を終えるまでの約8 ヶ月間を克明に描いたノンフィクション作品。
カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人たちへの溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間――。
切なく、時に可笑しい、「あなた」に向けて綴られた、誰もが心を揺さぶられる傑作です。(Amazonより)
■著者について
77年生まれ。 2004年に『あおい』でデビュー。 07年『通天閣』で織田作之助賞、 13年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞、15年に『サラバ』で直木賞を受賞。 他著書に『ふる』『i』『夜が明ける(Amazonより)
■インタビュー
―――高校生のとき、仕事とか人間関係でパンパンだった時に、西さんの「サラバ」を読んで、こんなに本って誰かの心を救ってくれるんだ...って思った。
西さん:
凄くうれしいです。本当にありがとう。こんな真っすぐな視線をお持ちの方に、私の本がおそばに居れた、それだけで本当に光栄です。
まずは、花恋が恋した一冊から。
―――「白いしるし」です。全部が終わって、それぞれが辿り着いた場所が、本当にボロボロでなんにもなくて、でも、その瞬間が一番みんなが発光してて羨ましくて。こんな恋をできる人がいるのかな?そう思ったら、わたしの小・中の「○○君カッコいい!」「○○君足速い!」っていうのは、まだまだ恋愛には...って。
西さん:
ええねん!!それでええねん!! 間島と夏目はタイミングが合って恋をしたけど、それが全てじゃないし。恋愛をする我々に力があるんですよね。ちょっと違う話になるかもしれないけど、心霊スポットとかあるじゃないですか。視る人がおるじゃないですか。視る人が強いで。あんたが強いでって思うんですよね。そういう感じっていうか...合ってるかわからないけど(笑)人間が強いんですよ。
―――「くもをさがす」について
西さん:
2021年の夏に告知され、その日から日記をつけ始めた。やっぱりちょっと興奮していたんですよね、癌って!って。同時に作家としての気持ちがあったのか、こんな機会はないぞって。こんな恐がっている自分を観察できる機会はないと。
―――西さんが自分を客観視していた。私も自分が読んでいるはずなのに、大友花恋がこの本に出合えたらいいなって思いながら読んでいた。なんか、「あの子大変そうな時があるから、あの子がこの本を読んだら救われるんじゃないか」って。でも、最後に西さんが、「あなたに読んで欲しいと思った」って言ってくれて、「私はもうこの本に出合えてるじゃん!」ってすごく嬉しくて、波のように救いの瞬間と苦しい瞬間がありながらも、最後は西さんにハグしてもらっている気分になりながら読み終えました。
西さん:
嬉しい、本当に嬉しです。
―――特に印象的だったのは、医療に携わるみなさんのフランクでカジュアルで、軽やかな感じ、でも、みなさん、ハッとする言葉をくれたり。
西さん:
抗がん剤ユニットの方とか、特に明るくて。彼女たちは私のことを一度もかわいそうな患者として扱わなかった。私は一度もかわいそうな瞬間がなかった。それが本当に大きくて、やっぱり自分の体のボスは私なんですよ。
―――こういう人たちが周りにいたらパワーとかエネルギーをもらえるんだろうなって。
西さん:
本当に、めちゃくちゃ笑いましたもん。すごくつらい、本当につらいのに、笑ってまう。
―――西さんのフィルターを通して関西弁になっている。すごく楽しかったです。
西さん:
そう聞こえるんですよ(笑)なんかもう関西弁なんです。
世界で一番、人生で一番自分の体を愛した慈しんだ8か月だったんですよ。つらいこともあったので、ある程度のトラウマになっているけど、それ以上に、こんなに自分が自分の体を愛した記憶は体に残っている。
―――いろんな熱量が込められているノンフィクションがあるんだって、すごく胸を打たれました。
西さん:
すごく嬉しいです。ありがとう。ありがとう。
*悩んでいるあなた、苦しんでいるあなたにおくる「お守り」のような一冊です。
追記:レビュー書きました
■感想
もう、今週は言葉がないです。インタビュー見ているだけで泣き笑い。とにかく読もう。みんなが読むべき1冊だって思いました。西さんのいちファンとして、回復されたことに本当に本当に心からホッとしたと同時に、頑張って戻ってきてくれてありがとうって言いたいです。それでは、また来週!
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■本日取り上げられた書籍 の一部