王様のブランチで紹介された作家のインタビューをまとめて掲載しています。
インタビュー
小川さん:
今回は「愛」がテーマ。この作品の前の「ライオンのおやつ」はホスピスが舞台の作品で「死」についてだった。死の先にあるものはなにか?と考えたとき、死んで全てが終わるのではなく、また生まれて人生が始まる、そこの部分を書きたかった。
小川さん:
小鳥はいろんなことを経験して、本当に辛い状況からのスタートなんですけど、初めて安心できる場所がコジマさんの家で、そこで介護をすることになって、そこから生命力を取り戻していく。生きる力を取り戻していく過程を描けたいいなと思いました。
―――二人(小鳥とリムジン)の関係性が本当に素敵だなと。わたし誰かに話したいなって。
小川さん:
我慢して本当はここに傷があるのにごまかしてきたことってあると思う。「あの時私、悲しかったんだ」とか「苦しかった」と確認して、さらに誰かに辛かったことを言えたら、すごく解放される、楽になれる。
―――「自分で自分を必死に守った結果」というのが、すごく刺さって、肯定してもらった気がして涙が溢れちゃいました。
小川さん:
やっぱり一番自分を守れるのは自分で、どうしたって生きていると思わず転んでしまうこともあるけれども、そこで下を向いて絶望するか、上を向いて希望を探し歩き始めるかで、人生はすごく違ってくる。物語がそういうイメージトレーニングをするきっかけになってくれればいいかなって。
小川糸プロフィール
1973(昭和48)年生れ。2008(平成20)年、『食堂かたつむり』でデビュー。多くの作品が英語、韓国語、中国語、フランス語、スペイン語、イタリア語などに翻訳され、様々な国で出版されている。『食堂かたつむり』は、2010年に映画化され、2011年に伊バンカレッラ賞、2013年に仏ウジェニー・ブラジエ小説賞を受賞。2012年には『つるかめ助産院』が、2017年には『ツバキ文具店』が、2021(令和3)年には『ライオンのおやつ』がNHKでテレビドラマ化(新潮社・著者プロフィールより一部抜粋)
ひとこと
「ライオンびおやつ」は本当に感動作でしたが、小川さん、今回はその先にあるものを見せてくれるんですね~。また大泣きしてしまいそうな予感がしますが、これも大事な1冊になりそうです。自分と全く違う人生だったり、まだ知らない世界を見せてくれるのが小説だと思っていますが、小川さんが言う「イメージトレーニングをするきっかけ」というのもすごく解ります。読書ってあらためて私たちの伴走者なんだと感じました。それではまた来週♪