王様のブランチ・BOOKコーナーで紹介された本を紹介します。
可燃物:米澤穂信
内容
余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。
群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の回りの雪は踏み荒らされていず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って〝刺殺〟したのか?(「崖の下」)
連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。(Amazon一部抜粋)
米澤穂信プロフィール
1978(昭和53)年岐阜県生れ。2001(平成13)年、『氷菓』で角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。2011年、『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞を受賞。2014年『満願』で山本周五郎賞を受賞。同作は、「このミステリーがすごい!」「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」の国内部門ランキングにて1位に輝き、史上初の三冠を達成する。(新潮社・著者プロフィールより)
インタビュー
―――本当に見破れなかったです。ヒントが書かれているのに、わからない!そのもどかしさも楽しみながら読みました。
米澤さん:
やー、今一番うれしい感想をいただきました。ミステリーを読んだときに全く想像もつかなかったという楽しみ方と、分かったはずなのに!という悔しい読み方がある。今回はこんなに手掛かりが散りばめられていたからきっとわかったはずなのにわからなかった悔しい!というのを味わっていただきたかったので、書いた甲斐がありました(笑)
―――表題作「可燃物」はどんな仕掛けのミステリーですか?
米澤さん:
古典的なホワイダニット(Why done it)=動機当て。一体彼は何故それをやったのか?が問いになるミステリー。
―――本作を思いついたきっかけは?
米澤さん:
今回ホワイダニットを書いて行こう。では、人間はどういう時に自分のやったことを壊したいと思うだろうか?隠してもどうしてもやりたい。これをやらなくてはいけない、と思うような切なる動機というものはどういうものがあるのだろう?そういった心の動きを見つめることから始まっています。
―――物語の最後で胸がキュッと苦しくなった。私も一歩間違えたらそうなってしまうかもしれないと。
米澤さん:
今回私がやろうと思ったのは、本格ミステリ―であって、それは謎解きを書くための小説だった。しかし、謎解きを成立させるために、被害者、加害者の心、社会の状況を書いていくと、自然と人の心やこの世の中を書くことに繋がっていく。それが小説の膨らみや豊かさとか奥行きを呼んできてくれる。そういう形で書ければいいなと思っていました。
*ミステリーの名手が手掛ける謎に翻弄される最高の読書体験を、あなたもぜひ味わってみれば?
ひとこと
ミステリ―好きの方は、この米澤さんの挑戦状を受けて立つしかない!そんな作品なのではと感じました。手掛かりが散りばめられているそうなので、どれだけ見破られるか勝負ですね!5編あるそうなので、毎回、挑戦に挑めそう(笑)それでは、また来週。
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