王様のブランチのBOOKコーナーで紹介された本を紹介します。
2021年12月18日はこちら!!
新しい星:彩瀬まる
■内容
直木賞候補作、高校生直木賞受賞作『くちなし』から4年—— 私たちは一人じゃない。これからもずっと、ずっと 愛するものの喪失と再生を描く、感動の物語 幸せな恋愛、結婚だった。これからも幸せな出産、子育てが続く…
…はずだった。 順風満帆に「普通」 の幸福を謳歌していた森崎青子に訪れた思いがけない転機—— 娘の死から、彼女の人生は暗転した。離婚、職場での理不尽、「 普通」からはみ出した者への周囲の無理解。 「再生」を期し、もがけばもがくほど、亡くした者への愛は溢れ、 「普通」は遠ざかり……。(表題作「新しい星」) 美しく、静謐に佇む物語 気鋭の作家が放つ、新たな代表作!
■著者について
1986年千葉県生れ。上智大学文学部卒。小売会社勤務を経て、2010年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『やがて海へと届く』『朝が来るまでそばにいる』『くちなし』『森があふれる』『まだ温かい鍋を抱いておやすみ』など。五感を刺激する柔らかでうつくしい文章と、どんな境遇の人にも寄り添う平らかな視点から紡がれる物語で読者を魅了。他に東日本大震災の被災記『暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出―』がある。--新潮社・著者プロフィールより
━━あえて言うなら本書のジャンルは?
彩瀬さん:
書店員さんにいい本だって受け止めていただけるけど、売り方が難しいと言われる。私自身が無意識にジャンルから逃れたいという気持ちがある。いろんなジャンルを混ぜたり、あえて約束事を破ったりして、なるべく感じたことのないものを書いてみたい。
━━本作のテーマは?
彩瀬さん:
テーマとか、仕掛けとか、大どんでん返しとか、驚いてもらう仕掛けを敢えて取っ払って、私が力まず自然体で書ける小説を模索していたら書けたって感じでした。
みんな辛いことがあったら、リビングで寝転がるよなぁ、みたいな。そのくらいの手元から始まる小説を書いてみようって思って。
彩瀬さん:
メインの4人だけでもいろいろな人生の大変なことや困りごとが出て来る。だけど、実際に自分が大人になって辛い時や困ったことに陥った時は、むしろ大変なことに人生を乗っ取られたくないというか、抗うような気持ちが出てきた。人生を乗っ取られないようにあがく人たちを書くというのが、強いて言えばテーマだったのかなと。
━━本作に込められた思いとは?
彩瀬さん:
こんなことが人生に起こるとは思っていなかったことが起こった時って、これまでと同じ世界に住んでいる気がしないような感覚があるって思うんですね。それもまたひとつのリアルな感覚かなって。それをどう言葉に落とし込もうと思ったときに、ふと、新しい未知の星にたたき落されたような気分っていうのが出てきて、で、困難を抱えたままでも、きっと人生にはいい瞬間や時間があると信じて生きていきたいなって、書きながらそう思いました。
悲しみの先にある再生を描いた感動作です。
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<感想>
彩瀬まるさんの作品は「あの人は蜘蛛を潰せない」という面白いタイトルの小説を読んだことがありますが、身近にありそうなリアルな話が印象的でした。あれからジャンルでは括れない小説を意識して書かれて来られたのですねぇ。
今回のインタビューで、その感覚、すごく解るなぁと思う反面、それを小説として描くのは本当に難しそうと感じました。一体どうやってそのあたりを表現なさっているのかな。R-18文学賞出身の方なので、本作もヒリヒリとした痛みをもって生きる!という感じの作品なのでは...と思いました。じっくり読みたい作品。
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