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【王様のブランチ】井上先斗さんインタビュー<バッドフレンド・ライク・ミー>(2025年6月28日 )

 

王様のブランチで紹介された作家のインタビューをまとめて掲載しています。

 

バッドフレンド・ライク・ミー (文春e-book)

バッドフレンド・ライク・ミー (文春e-book)

インタビュー

 

―――読みながら自分が主人公と一緒にどこに向かっているのか、ドキドキを味わいながら読んでいました。

 

井上さん:

大変うれしいです。主人公が見てる世界を文章にしたいなっていうのはずっとありますんで、その感じが出せたのは一つの目標達成。

 

―――ほんと、入り込んじゃいましたね。一緒になって。

 

 

 

―――第一の試練が来た時、一緒になってゾクゾクしちゃいました。

 

井上さん:

本当に何でもないことなんだけど、有馬にとっては心が動いたことを特に書きたかったので。今回はエンターテイメントをやろうという気持ちがあったので、展開もとにかくスピーディーにしたかった。全体のストーリーラインをかなりくっきりとさせて、有馬がどんどん危ない方向に転がっていってしまうけど、どうなるのかってところで、落ち込むところまで落ち込んでから、最後に上がってくるようなラインを作ろう。そうした部分には気を配って書いていました。

 

―――有馬自身が試練を重ねていて、それが誘拐のための準備だと分った時点で、すごいことをやっちゃっているという感覚になりました。

 

井上さん:

有馬を、巻き込まれただけの善人で、自分は知らず知らずのうちにやってしまったという形にはあまりしたくなかった。有馬という人間がどういう風に変わって成長できるのかという話なので、明らかに有馬に「もう俺は一線を越えてしまうんだぞ」と決意させたい、前半部の一番の盛り上がりとして、「第六の試練」はああいう形になりました。

 

* 最後まで予想がつかない、リアル犯罪サスペンスです。

 

 

 

 

井上先斗プロフィール

1994年愛知県生まれ。成城大学文芸学部文化史学科卒業。2024年、本作『イッツ・ダ・ボム』(「オン・ザ・ストリートとイッツ・ダ・ボム」より改題)で第31回松本清張賞を受賞しデビュー

ひとこと

お話を聴いていると、一つずつ試練を乗り越えていくゲームのような感覚を覚えたのですが、それが犯罪に繋がっていると思うと怖すぎます。これは先がどんどん気になっていく展開で目が離せなくなるタイプの小説ですねぇ~。それでは、また来週。

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