王様のブランチ・BOOKコーナーで紹介された本を紹介します。
鏡の国:岡崎琢磨
内容
大御所ミステリー作家・室見響子の遺稿が見つかった。それは彼女が小説家になる前に書いた『鏡の国』という私小説を、死の直前に手直ししたものだった。「室見響子、最後の本」として出版の準備が進んでいたところ、担当編集者が著作権継承者である響子の姪を訪ね、突然こう告げる。「『鏡の国』には、削除されたエピソードがあると思います」———。削除されたパートは実在するのか、だとしたらなぜ響子はそのシーンを「削除」したのか、そもそも彼女は何のためにこの原稿を書いたのか……その答えが明かされた時、驚愕の真実が浮かび上がる。反転、反転、また反転———!本気の「仕掛け」を堪能せよ!(Amazonより)
岡崎琢磨プロフィール
1986年、福岡県生まれ。京都大学法学部卒。2012年、第10回『このミステリーがすごい!』大賞の最終選考に残った『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』でデビュー。13年、同作で第1回京都本大賞受賞、人気シリーズとなる。その他の著書に『夏を取り戻す』『貴方のために贈る18の物語』『Butterfly World 最後の六日間』など多数。(Amazonより)
インタビュー
―――一語一句見逃さないつもりだったけど、なんか、見逃しちゃいました。
岡崎さん:
一番ありがたい良い読者ですね。ミステリ作家としての腕の見せ所みたいなものもありまして、違和感はあったけど見逃がすくらいのラインをつかないと、伏線として機能しない。その匙加減が結構難しい。そこはかなりいつも神経を使っている。
―――削除されたパートは本当にあるのか?なぜ、響子はそのパートを削除したのか?推理しながら読むのがすごく楽しかったです。
岡崎さん:
ありがとうございます。作中作自体が単なる作品の仕掛けのものではなく、それ自体が独立した作品としておもしろくなることは、何よりも意識しましたね。2冊分読んだような楽しみを味わっていただけたらな、とは思っております。
―――そうなんですよ。2回、おいしかったです。
―――郷音が許してくれたから、会ってくれるのかな?って思ったら、「え?許してくれてないんだ?」って。
岡崎さん:
謝罪するのってそんなに難しいことじゃない。許してもらうかどうかって謝罪する側の傲慢さもあるかなっていうのを、僕も普段から考えてしまう。そういう意味では響の弱さを郷音が逃さないところまでを含め、切実に描けたかなという気はしています。
―――私が今まで読んでたのって違う世界だったの?と、.....大騙されしました!
岡崎さん:
良かったです。最終的に反転するのは自分のなかで決まってはいたんですけど、反転に行き着くために、様々な伏線や展開を注意深く並べていったので、自然とそういう形にまとまっていった。ある種、自分の作家としての力を超えたところにこの小説があった。なんだかすごく美しい建造物が出来上がったみたいだな....とラストを書きながら眺めていました。
*削除されたエピソードとの真実とは?
ひとこと
どこかで見たお名前だと思ったら、「珈琲店タレーランの事件簿」のシリーズで大ヒットした作家さんでした。当時ものすごく話題になったのを覚えています。今回のミステリも面白そうですね。作中作もあるとのことで、まさに2冊分楽しめそう!
表紙も「伏線」になっているそうですから、表紙もしっかりチェックですぞ!それでは、また来週。
ブックコーナーで話題になった作品
素敵な街、西荻愛とワクワクにあふれた一冊。
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