王様のブランチのBOOKコーナーの作家インタビューの内容をまとめています。
無敵の犬の夜:小泉綾子
インタビュー
―――文藝賞受賞、おめでとうございます。受賞のお知らせを受けた時のお気持ちは?
小泉さん:
どちらにしろ今日わかると思っていたので....ホッとしました。
―――世界のすべてにムカついている感じ、思春期特有で、すごく分かるって。
小泉さん:
若さゆえに暴走してしまうとか、何者にもなれない自分にすごくストレスを抱えているとか、そういう人を主人公に書きたいと思いました。
―――本作の執筆のきっかけを教えてください。
小泉さん:
白石監督の「孤狼の血LEVEL2」っていう映画があったんです。それを観てすごく感動して、すごいショックを受けて、3回映画館で観て、その勢いで書きました。
―――「孤狼の血」からインスピレーションを受けた部分は?
小泉さん:
鉄砲玉のような少年が出て来るんですよ、すごく格好良くて、そういう感じの世界観を自分でも作れたらなって思いました。
―――地元のワルに陶酔していく姿がすごくリアルだなって思ったんですけど、橘と界の関係性を描く上で大切にされたことは?
小泉さん:
ちょっと悪い方が格好が良く見えたりとか、そういう人に惹かれて、自分も変わっていくという経験は、私の中にもあった。そういう思いをベースに書きました。
―――東京に一人で殴りこみにいく。その無鉄砲さにドキドキ、ハラハラしながら読ませていただいた。あのシーンはどのようなお気持ちで描かれたんですか?
小泉さん:
勢いや、中学生特有の無計画さ、後先考えずに何かを掴みたいというエネルギーを否定せずに書くことを大切にしました。
*界の衝動と、思いもよらない結末とは?
ひとこと
作者の小泉さんのほんわかスローなトークからは作品が想像できない。作品の方は、なかなかのパワフル系のようで、ご本人と作品のギャップが結構ありそうですね。きっと小泉さん、内に秘めた熱いものがあるんだろうなぁ。しかも、映画を観た勢いで書いて文藝賞まで取ってしまうって....すごい才能ですよね!今後も目の離せない作家として注目したいと思いました。それでは、また来週。
小泉綾子プロフィール
1985年、東京都生まれ。10代を九州で過ごす。2022年、「あの子なら死んだよ」で第8回林芙美子文学賞佳作受賞。2023年、「無敵の犬の夜」で第60回文藝賞受賞。(Amazonより)