王様のブランチのBOOKコーナーの作家インタビューの内容をまとめています。
あいにくあんたのためじゃない:柚木麻子
インタビュー
柚木さん:
今回は嫌なラーメン評論家が出てくるんですけど、おいしいラーメンの情報を持っている人ってすごくありがたがられる。みんなを喜ばせたいところからスタートしたのに、ちやほやされて変になっちゃう。この短編集を通して理解できなかった人の気持ちを理解するようにしてみようと思ったのが、書いた中でとても大きかったことです。
―――読んだ後に即効性のある栄養剤を取り入れたかのような、ホントに心と体に力が漲る作品でした。
―――怒りをエネルギーに変えて人間の底力を見せてくれるような人たちがたくさんいて、そういうことが大事だなと感じました。
柚木さん:
実際子連れだと外食ってちょっと遠慮したり、いろんなトラブルがニュースになっている。ひとりひとりが、自分の時間を大事にできたり、相手の時間も優先できるような、そういう社会になったらいいなという気持ちを小さいラーメン屋に込めた。
今、社会で窮屈な思いをしている人とか、自分がフィットする場所がこの社会にないと思っている人が、誰かと手を取り合えるとか、そういうきっかけになるといいなと思って書いたんですけど、まずは笑って読んでいただけたらと思っております。
*自分を取り戻す道を模索する登場人物から勇気がもらえる短編集です。
ひとこと
結構、シリアスな話なのかな~って思っていたら、最後に柚木さん、少し微笑みながら「まずは笑って読んでいただけたら」って言うじゃありませんか。「えええーーそっちなの?」って感じで、小説の雰囲気が分からなくなってしまいました(笑)どっちにしても面白そうなので読むしかないですね!それでは、また来週。
柚木麻子プロフィール
1981年東京生まれ。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、2010年に同作を含む『終点のあの子』でデビュー。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。ほかの作品に『私にふさわしいホテル』『ランチのアッコちゃん』『伊藤くん A to E』『本屋さんのダイアナ』『マジカルグランマ』『BUTTER』『らんたん』『ついでにジェントルメン』『オール・ノット』などがある。(新潮社・著者プロフィールより)