王様のブランチのBOOKコーナーの作家インタビューの内容をまとめています。
アルプス席の母:早見和真
インタビュー
早見さん:
デビュー作が高校野球の小説で、高校野球を書き切った気持ちが強かったので、以来、一冊も書かずいろんなジャンルの小説を書いてきた中で、もう一回ちゃんと一からデビューするっていう感覚がすごく強くて。じゃあ、高校野球書かなきゃいけないなって思ったんですよ。どういう切り口で高校野球を書くかと思ったときに、親目線で高校野球を書けないかなって。
―――いろんな箇所で泣ける部分があって、ずっとこの感動の余韻に浸っていたくて、そのくらい入り込める作品でした。
早見さん:
僕自身が神奈川県のある名門校で野球をやっていました。主人公の秋山菜々子が何かで苦しんだときとか悩んだときにうちの母だったらどうしてたかなってことを考えた。本当にこんなにお袋と会話した小説はなかった。
取材もすごくしたんですよ。甲子園に出て来るような学校で、息子が野球をやっていたお母さんたち20人くらい。やっとこの機会が来たって言うお母さんばっかりで。
―――あ、そうなんですか!
早見さん:
やっとあの時の不満を吐露できる。だから結構衝撃的。
本当は甲子園のシーンだけで終えるつもりだった。「最後泣きました」って言ってくれたところって、その先の部分だと思う。
読者全員の息子だったり、子どもに対する勝手に諦めるなっていうメッセージが一番大きいと思う。今の若い子たちに対する希望も含め、ラストシーンに込めている。
*高校野球を通して描かれる親子の愛。諦めないことの大切さを教えてくれる一冊です。
ひとこと
早見さんの作品は未読ですが、新刊が出ると話題になっているのは目にしてきました。どんなジャンルの小説なのかなって思っていましたが、これまで本当に色々なジャンルの作品を書かれてきたんですね。ちょっと検索したら、絵本もあるみたいで、こちらも面白そうでチェックしました。本作は高校野球の話みたいですが、球児の裏には必ずそれを応援してきた親がいるわけで、その奮闘ぶりは球児以上のものがあるってことは想像できます。装丁画もいいですね!間もなくまた熱い夏がやってきます!その前に読みたい一冊だなぁと思いました。それでは、また来週。
早見和真プロフィール
2008(平成20)年『ひゃくはち』でデビュー。2015年『イノセント・デイズ』で日本推理作家協会賞受賞。2020(令和2)年『店長がバカすぎて』で本屋大賞ノミネート。同年『ザ・ロイヤルファミリー』で山本周五郎賞を受賞した。(新潮社・著者プロフィールより)
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