えとせとら本棚

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【王様のブランチ】170回 芥川賞・直木賞 受賞作家インタビュー(2024年1月)

 

第170回芥川賞・直木賞の受賞者の会見コメント及びインタビューです。

 

まずは芥川賞はこちら。

【芥川賞】東京都同情塔:九段理江

インタビュー

九段さん:

巨大建築物によって人の思考や街の風景、その国の方向性が変わって来ると思うので、全然違う世界が見えて来る。じゃ、どういう世界なんだろうと考えて、そういう話になりました。

 

―――新しいものって受け入れられないところとか、だけど、それが日常生活に馴染んでいく様子だったり。東京都同情塔も、もしかしたらできるかもしれないというリアルさが、恐怖として伝わって来る部分がすごくありました。

 内容

ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名は、仕事と信条の乖離に苦悩しながらパワフルに未来を追求する。ゆるふわな言葉と、実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書。――Amazonより

著者について

埼玉県浦和市生まれ。大学卒業後、大学研究室助手、専門学校非常勤講師を務める。令和3年/2021年に「悪い音楽」で第126回文學界新人賞を受賞。

 

 

 

 

続いて、直木賞受賞の河﨑秋子さんと万城目学さんのインタビュー。

【直木賞】ともぐい:河﨑秋子

ともぐい

ともぐい

Amazon

インタビュー

河﨑さん:

私の住んでいた北海道の別海町は、熊が山の中で普通に生きている環境。なんとなくその息吹を感じつつ、尚且つ、ある程度距離を取り接触しないように暮らして来た。

 

―――ずっと熊について書きたいという思いがあったんですか?

 

河﨑さん:

熊が北海道内で生きている野生の動物の中では一番の脅威となりますんで、一番の脅威というものを書きたいというのがあります。

意識して書いたのは、主人公を通した五感の表現をなるべく書いて、読まれた方が物語の中で、五感を再体験してもらいたいというのはありました。

 

―――自分が経験したかのような描写力がスゴイ。

 

河﨑さん:

実際の世界では経験できないものなんですけど、VRの世界みたいに引きずりこむのがひとつの目標としてあったんで、そう言っていただけてとても嬉しいです。

 内容

明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河﨑流動物文学の最高到達点!!―Amazonより

著者について

1979年北海道別海町生まれ。2012年「東陬遺事」で第46回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)受賞。2014年『颶風の王』で三浦綾子文学賞、同作で2015年度JRA賞馬事文化賞、2019年『肉弾』で第21回大藪春彦賞、2020年『土に贖う』で第39回新田次郎文学賞を受賞。他書に『鳩護』『絞め殺しの樹』(直木賞候補作)『鯨の岬』『清浄島』などがある。(新潮社・著者プロフィールより)

 

 

 

 

【直木賞】八月の御所グラウンド:万城目学

インタビュー

万城目さん:

助っ人のえーちゃんという人が、こちらから解釈は書かない。

 

―――京都ならあり得そう気もしちゃう。

 

万城目さん:

野暮じゃないラインを見極めながらギリギリのところを書いていく、そこが一番大事でした。

 

―――かなりいろんなことを考えながら書かれているんですね。

 

万城目さん:

そりゃそうですよ!(笑)

 内容

死んだはずの名投手とのプレーボール 戦争に断ち切られた青春 京都が生んだ、やさしい奇跡 女子全国高校駅伝――都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。謎の草野球大会――借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)でたまひで杯に参加する羽目になった大学生。京都で起きる、幻のような出会いが生んだドラマとは--今度のマキメは、じんわり優しく、少し切ない青春の、愛しく、ほろ苦い味わいを綴る感動作2篇-Amazonより

著者について

1976年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。2006年、第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞した『鴨川ホルモー』でデビューすると一躍注目を集め、09年には同作が舞台化・映画化された-Amazonより

 

2023年8月12日放送分のインタビューはこちらです。

matome.readingkbird.com

 感想

もうこのシーズンか~ってくらいあっという間の授賞式。候補作も含め、読みたい本が山積みされていきます。私個人としては「ともぐい」が、とにかく気になっていた作品。熊小説は本当に怖いものが多いですが、河﨑さんの作品もかなり怖いとみています。もちろん、読みますよ!!芥川賞の九段さん。取材もまだ慣れていないせいか、とても初々しい様子でした。これからが楽しみですね。万城目さんは、京都の夏のインタビューが印象的でした。あの時、「いいものが書けた」っておっしゃっていたので、受賞に繋がって本当に嬉しかっただろうなぁ~と思います。

皆さま、本当におめでとうございます。今後もますますのご活躍を期待してます!