えとせとら本棚

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【王様のブランチ・本】清志まれさんインタビュー<おもいでがまっている>(2023年4月1日 )

 

本日の王様のブランチ・BOOKコーナーで紹介された本を紹介します。

本日の王様のブランチ(2023年4月1日放送分)で、おすすめされた話題の本と著者のインタビューをまとめて掲載しています。

■おもいでがまっている:清志まれ 読み方→(きよしまれ)

■内容

今は古びた平成初期の新興マンション。 その一室に、ひとりの年老いた男が、孫とともに住んでいた。男が訥々と語る、心温まる、この部屋の思い出。孫はここで、ずっと母を待っている。この部屋に残された母の愛に囲まれて。しかし、男が語る思い出はすべて“嘘”だった。かつてこの男は、とある幼い兄妹から、この部屋を奪った。男には、そうしなければならない、痛切な理由があったーー。風吹く部屋で、ずっと誰かを待ち続けた、ある家族と男の物語。水野良樹(いきものがかり)が筆名で描く、渾身の書き下ろし小説。(Amazonより)

■清志まれプロフィール(いきものががり・水野良樹)

1982年生まれ。神奈川県出身。

2006年「いきものがかり」でCDデビュー。 グループ活動のみならず、ソングライターとして楽曲提供多数。

2022年に初小説『幸せのままで、死んでくれ』(文藝春秋刊)を刊行し、小説の「主題歌」も同時に配信リリースされ 大きな話題となった。

(amazonより)

ペンネームの由来は、両親の名前をちょっともじったり、自分の息子に付けようと思っていた名前の一部を組み合わせて、清志まれとしました。(文春オンラインより)変わった名前だな~って思っていましたが、そういう由来があったんですね。

 

■インタビュー

清志さん:

歌を作るときのあるあるで、「待つ」っていう状態を書くことがしづらくなったな。ぼく、ぎりぎり携帯電話がない時代を知っているんですけど、前の日に口頭で約束して、その時間に行かないといけない。トラブルがあってその人が来られないと「待つ」ってことが生まれるんですけど、今だったら携帯で「今起きたから」みたいなことが言えるじゃないですか。歌の中で「待つ」設定が書きづらくなっている。

 

ぼくらが憧れた歌謡曲とか、もうちょっと前のJ-POPが使っていた「待つ」っていうのが書けない。ちょっと憧れがある。

 

―――最近読んだ小説で一番胸を撃たれました。

 

清志さん:

めっちゃ、いい言い方じゃないですか!目が見開いてて!ありがとうございます。

 

 

 

 

 

清志さん:

昔住んでいた実家が物語と同じような平成初期の新興マンションだったんですね。そこを引き払った経験があって。なんにも家具もないところに思い出がよみがえって来る。部家の匂いであったり、場所に記憶は宿るのかなぁ。新しく住まわれる方が、ぼくの知らない記憶を積み重ねていく。すごい不思議な感覚になって。これは上手く小説になるんじゃないかと。「待つ・場所に宿る記憶」を重ね合わせて物語を設定していった。

 

忠之は非常に弱いところがあって不器用。誰も傷つけないで状況を改善することもできたのに、ああいゆう選択をしてしまった。全てが善意で出来上がっているわけじゃなくて、彼自身の自尊心だったり、両面性がちゃんとと見えるようにしたい。人間の弱さや不器用さが、読んでくださる方にも「たしかにそう思うこともあるよね」って理解してもらえる範囲でこの人物を書きたいなって思っていました。

 

*待つことでしか進まなかった人生がある。大切な人を思いやる気持ちに、心を揺さぶられる1冊です。

■ひとこと

  

 ミュージシャンが曲を作る時に、どういう部分に視点を置くのか、とてもよくわかるお話でした。なるほど、曲作りにも、昔と同じようには書けない部分というのが、時代の変化とともに出て来ているのですね。歌はリアルタイムなものだと実感させられました。清志まれさんのお話は歌と同じ、なにか聞いていると風景が見えて来る感じがしました。そういう意味でも、とても深いインタビューでした。ちなみにインタビューされた方、本書を激推しされていました。それでは、また来週!

 

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