王様のブランチのBOOKコーナーの作家インタビューの内容をまとめています。
怖いトモダチ:岡部えつ
インタビュー
岡部さん:
私が人生生きて来て、二人そういう人に会った。実は何十年も付き合ってきた人だったので、一体、その彼女って何者なんだろう?これは小説のモチーフになるなと思って書きました。
―――お化けとか出て来るわけでもないのに、こんなにゾッとさせられる作品は初めてで驚きでした。
岡部さん:
善良な人っていうのは、立場や関係性が変わっても変わらないと思うんですよ。意外性みたいなものは、変わった立場になると見えることがあるかもしれませんけど。その一方、邪悪な人は、ちょっと立場や関係性が変わっただけでガラッと意外な一面というか、全く違う一面を見せて来る。それが、ものすごく怖い。
―――ラストの展開、全てが繋がってスッキリとすると同時に、本当にゾッとして背筋が凍りました。
岡部さん:
自分がルミンになったつもりで、自分のなかの黒いものを総動員してああいう風に決着させました。
―――読んだ後もずっと引きずる。
岡部さん:
これが書けたのは、そういう相手を悪人として見ていたわけではなくて、私自身の中にもエゴみたいなものはあるし、黒いものもあるので、自分自身にそういう性質を持っている人は発見してほしい。それを伝えたかったんですよね。
*ルミンを巡るミステリーを通して、あなた自身の怖い一面に出合うかもしれない1冊です。
ひとこと
話を聴いてて、「豹変する」とか「多重人格」みたいなものが頭に浮かびました。人間誰しも持っている部分ではありますが、これが極端だとホラー化しますものねぇ。面白そう~って思う反面、自分自身の意外な部分も見えてきそうで、ちょっと読むのが怖いですね。気になる作品です。それでは、また来週。
岡部えつプロフィール
2008年、第3回『幽』怪談文学賞短編部門大賞を受賞、翌年、受賞作を表題とした短篇集『枯骨の恋』でデビュー。2014年に刊行された『残花繚乱』がTBS木曜ドラマ劇場で「美しき罠~残花繚乱」として連続ドラマ化(主演:田中麗奈)。2017年に刊行された『嘘を愛する女』(2018年公開の映画『嘘を愛する女』<出 演:長澤まさみ、高橋一生>の小説 版)は、累計15万部のベストセラーに。著書は他に『新宿遊女奇譚』『生き直し』『パパ』『フリー!』など。(Amazonより)
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