王様のブランチで紹介された作家のインタビューをまとめて掲載しています。
家族解散まで千キロメートル:浅倉秋成
インタビュー
岡部さん:
伏線回収をしたくて小説を書いているわけではない。最後にやりたいエンディングがあって、そこに向けて物語を整えて行こうと思うと、なにかこう、手前に置かなければいけないことがいっぱいあって、最終的に狙撃しちゃうんですよ。
―――読み終わった後、すぐ前のページを見返して「こういうことだったんだ」って。今作でも見事に撃ち抜かれました。
浅倉さん:
そうですか。ライフルが火をふきました(笑)
浅倉さん:
構想段階から、家族が何かをA地点からB地点に返しに行く話にしようっていうのが骨格として最初にあった。何を返しに行こうか?仮置きで「ご神体」にした。そうしたら、結構いろんなニュアンスを含んでくれて。物語がひとつのポイントに収束していくにあたって、よかったところかなって気はしましたね。
―――どこか頭の中で「家族ってこういうもんだよ」って、思ってしまっていた自分がいて、それってあんまりよくないことなのかな?って考えた。
浅倉さん:
家族を書こうということからスタートしたんですけれども、物語もきっとこういう風に落ちるでしょうという思惑が、まさしく自分にとっての家族ってこうでしょという固定観念から気持ちよくズレてくれたたらいいなと思って、がんばって書いた。
*家族の在り方を考えさせられるどんでん返しのミステリー小説です。
ひとこと
ここのところ何かと作品が話題になる浅倉さん。人気ありますよねぇ~。「伏線回収」とか「どんでん返し」ということが取り上げられがちのようですが、こうしてインタビューで執筆の過程を伺うと、決してそこを目指して書かれているわけではないということが解りますね。「ご神体」と「家族」がどんなミステリーを生むのか?なかなか興味深い話だと感じました。それでは、また来週。
浅倉秋成プロフィール
1989年生まれ。2012年に『ノワール・レヴナント』で第十三回講談社BOX新人賞Powersを受賞しデビュー。19年に刊行した『教室が、ひとりになるまで』が第20回本格ミステリ大賞〈小説部門〉候補、第73回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編部門〉候補となる。21年に刊行した『六人の嘘つきな大学生』は第12回山田風太郎賞候補、2022年本屋大賞ノミネート、第43回吉川英治文学新人賞候補となる。22年に刊行した『俺ではない炎上』は第13回山田風太郎賞候補、第36回山本周五郎賞候補となる。(Amazonより)
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