王様のブランチで紹介された作家のインタビューをまとめて掲載しています。
インタビュー
―――前川さんは看護師として働いているんですよね?
前川さん:
そうですね、今も看護師として働いています。
―――大変じゃないですか?
前川さん:
大変な時もありますけど、周囲の支えもあって書かせていただいている。
―――実際にお会いした患者さんをもとに書くこともあるんですか?
前川さん:
個人情報の観点があるのでそのまま書くってことはないんですけど、患者さんを見ていると、その痛みの背景に社会問題が透けて見える時がある。自然と小説のイメージがわいてくることがある。
(動物介在療法に携わるDI犬が)ベッドサイドに寄り添ったり、時には添い寝をしたり、手術や採血に付き添ったり、その光景を見て衝撃的だった。
―――私の隣にも来てくれないかなと思いながら読んでいた。
前川さん:
楽しく患者さんのもとに介在しているってところと、寄り添われながら、時寄り添って生きていく尊さなどをこの作品で描きたかった。
―――(物語には)優しいという一面もあるけど、胸が苦しくなるシーンがある。
前川さん:
やはり臨床で活躍している犬は可愛くて尊いですけど、だからと言って安易にハートフルな話にしないように、ある種の現実みたいなものは書いた。
ハンドラーとスピカのバディものでもあるので、徐々に成長とか新しい気づきを得れるような感じを映し出した。誰かに寄り添うような1冊になればと思って書いた。
* 癒しや気づき、成長など様々な人間模様を描いたヒューマンドラマです。
ひとこと
またまた兼業の作家さんが!もう最近は作家一本でやっている人の方がむしろ少ないのかな~って思っちゃいます。しかも、どちらの職業もプロフェッショナルですものねぇ。前川さんはとても物静かな方という印象がありました。看護師さんとして働いている姿はどんなかな~。病院にいる犬も気になっていたのですが、そのあたりの現状も小説を読むと分かりそうですね。それでは、また来週。
前川ほまれプロフィール
1986年生まれ、宮城県出身。看護師として働くかたわら、小説を書き始め、2017年『跡を消す 特殊清掃専門会社デッドモーニング』で、第7回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。2019年刊行『シークレット・ペイン 夜去医療刑務所・南病舎』は第22回大藪春彦賞の候補となる。2023年刊行『藍色時刻の君たちは』で第14回山田風太郎賞を受賞。その他の著書に『セゾン・サンカンシオン』がある。(Amazonより)