王様のブランチで紹介された作家のインタビューをまとめて掲載しています。
インタビュー
潮谷さん:
これまでかなり特殊な設定とか、変わった舞台のミステリーを書いていたもので、ちょっとここで王道の舞台にしてみようかなと思いました。そうするとドラマとかでもよく使われている高校のミステリーを一回書いてみたいと考えまして、高校を舞台にしました。
名探偵っていうと最初に思い浮かぶのはシャーロック・ホームズだと思う。シャーロック・ホームズの原作に出て来る要素を作品内に取り入れようと思いまして、名探偵が滝壺に落ちて命を落とすと思われるっていう展開は、シャーロック・ホームズにもある展開なんです。
―――ホームズファンの人には本当、心をくすぐられるような仕掛けがたくさんあるんですね。
―――亡霊と人間のタッグ。私もこの二人のコンビネーションがすごく見ていて良いなぁと思った。
潮谷さん:
前からよく考えてたことなんですが、自分が読んだ時にすごいなと思ったり、名作と呼ばれているミステリーって、初心者が読んでもスルっと入っていって楽しめる。ずっと読み込んでいるマニアが読んでも、実はいろんな仕掛けがあって奥が深いって作品が多かった。自分でもそういうのを書いてみたいな思っていました。
本作は完全ではないかもしれないけど、ちょっとそれに近づけたかなと、そういう作品だと思っています。
―――いろんな事件を解決しながらそこに集中していたんですけど、まさか最後にそこでどんでん返し?みたいな。まさに潮谷さんの思い描いていた作戦だったんですね。
潮谷さん:
ぴったりハマって嬉しいです。(ミステリーは)やっぱり分かりやすくすることが重要だと思っていて、基本、謎が飛び込んでくるので読者としてはずっと混乱すると思うんですけど、それが解明されるときの流れは、どの読者でもはっきり分かってもらえるように綺麗に解きほぐすということを心がけています。解きほぐし方が雑だったりすると、解決したけどなんかもやもやが残ったりするので、謎が解けたときは、すごく気持ちよくなってもらいたい。
*ラストのどんでん返し見逃せない学園ミステリーです。
ひとこと
確かにミステリー初心者にとって設定が凝りすぎると、なかなか物語に入り込めないことって多々あるし、ラストがすっきりしない、解らないなんてことも結構あります。潮谷さんはそんな読者の気持ちを救ってくれるような作品作りをされている感じが良いですねぇ。ミステリー小説が苦手な人や初心者に入りやすそうだなぁ~って感じました。
それでは、また来週。
潮谷験プロフィール
1978年京都府生まれ。第63回メフィスト賞受賞。デビュー作『スイッチ 悪意の実験』が発売後即重版に。「王様のブランチ」(TBS)で特集されるなどで話題となる。2作目の『時空犯』は「リアルサウンド認定2021年度国内ミステリーベスト10」で第1位に選ばれる。3作目の『エンドロール』では新型コロナウィルスで被害を被った若者たちを主人公とし、作品ごとにまったく違った舞台設定で読ませる注目の書き手となっている。近著に『あらゆる薔薇のために』、『伯爵と三つの棺』がある。(Amazonより)