王様のブランチのBOOKコーナーで紹介された本を紹介します。
2020年7月18日分はこちら!!今回は芥川賞と直木賞の特集です。
まずは、芥川賞、今回はダブル受賞です。
朱里の馬:高山羽根子
発表直後の高山さんのインタビューより。
高山さん:別のプレイボールがかかった感じですかね。
■内容
この島のできる限りの情報が、いつか全世界の真実と接続するように――。沖縄の古びた郷土資料館に眠る数多の記録。遠く隔った場所にいる友とのオンライン通話。台風の夜にあらわれた幻の宮古馬。世界が変貌し続ける今、しずかな祈りが切実に胸にせまる感動作。━━Amazonより
■著者について
高山/羽根子
1975年富山県生まれ。多摩美術大学美術学部絵画学科卒業。2010年「うどんキツネつきの」で第一回創元SF短編賞佳作を受賞し、デビュー。2016年「太陽の側の島」で第二回林芙美子文学賞を受賞。2018年『オブジェクタム』が第三九回日本SF大賞最終候補に選出。2019年『居た場所』で第一六〇回芥川龍之介賞候補に ━「BOOK」データベースより
遠野遥:破局
同じく受賞後のインタビューより。
遠野さん:(主人公は)人によっては気持ち悪いとか、好きじゃないとか、私も実際そうだなと思いながら書いていた部分もあるので、歴史ある賞を頂けるのは、ちょっと意外でした。
■内容
私を阻むものは、私自身にほかならない――ラグビー、筋トレ、恋とセックス。ふたりの女を行き来する、いびつなキャンパスライフ。28歳の鬼才が放つ、新時代の虚無。━━Amazonより
■著者について
1991年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。2019年、『改良』で第五六回文藝賞を受賞
そして、直木賞です。
少年と犬:馳星周
なんと馳さん、7回目のノミネートだったそう。闇社会を描く「ノワール小説」の名手である馳さん。そのハードボイルドなイメージから一転、馳さん、私生活ではかなりの愛犬家だそうです。
今回、宮部みゆきさんのインタビューがありました。
宮部さん:
どうしても動物が出てくる作品となると、それだけでアドバンテージが高くなると同時に、ハードルが高くなる。好意的なニュアンスを込めて、「犬はずるいよ」「犬はひきょうだよ」って声がありました。それでも...それだけ難しい。
この選評を受けて馳さんは、
馳さん:
犬に限らず動物を出す小説がずるいっていうのは分かっています。ただ、僕、もう25年以上犬と暮らしているので、書きたいというより、書かざるを得ないんですね。
浦河町からのリモートインタビューではこんな話も。
馳さん:
浦河町はサラブレッドの生産が有名なんだけど、まるで僕がGIレースに勝ったような喜び方でした。
今回は東日本大震災と絡めた犬の話を書きたいなと思って。忘れちゃいけない災害だし、風化させちゃいけない災害。10年経って、被災地以外は過去のことのようにとらえている風に思えることもあるので、折に触れて東日本大震災のことは書いていきたいと常々思っています。
馳さんが飼っている犬たちをモデルに書かれているんですか?
馳さん:
うちの犬たちはちょっとぬけた子たちなので、多聞ほど賢くないんですけど、全ての犬が多聞みたいに人に寄り添ってくれると思っています。僕と暮らしている犬たちも、僕が腹を立てていたりすると、スーッと来て、体をくっつけて座ってくれたりします。
■内容
家族のために犯罪に手を染めた男。拾った犬は男の守り神になった―男と犬。仲間割れを起こした窃盗団の男は、守り神の犬を連れて故国を目指す―泥棒と犬。壊れかけた夫婦は、その犬をそれぞれ別の名前で呼んでいた―夫婦と犬。体を売って男に貢ぐ女。どん底の人生で女に温もりを与えたのは犬だった―娼婦と犬。老猟師の死期を知っていたかのように、その犬はやってきた―老人と犬。震災のショックで心を閉ざした少年は、その犬を見て微笑んだ―少年と犬。犬を愛する人に贈る感涙作。「BOOK」データベースより
■著者について
馳/星周
1965年、北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務、書評家などを経て、96年『不夜城』で小説家デビュー。同作で吉川英治文学新人賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。98年『鎮魂歌 不夜城2』で日本推理作家協会賞、99年『漂流街』で大藪春彦賞受賞。「BOOK」データベースより
<感想>
インタビューを聴き、馳さんのイメージがガラッと変わりました(笑)本当、犬が好きなんだなぁと、その表情から窺えました。確かに東日本大震災の話は薄れてきていますよね。忘れてはならないこととして、書き続けたいという馳さんの心意気が聞けて良かったなぁと思いました。
今週はここまで。それでは、また来週!!