王様のブランチのBOOKコーナーの作家インタビューの内容をまとめています。
風に立つ:柚月裕子
インタビュー
―――初の家族小説ということで、周りの反響は?
柚月さん:
柚木裕子が家族小説?みたいな...そういう声は耳に届いていました。
―――(この本を読んで)それぞれの優しがあたんだなっていう、温かい涙が流れました。
柚月さん:
良かったです。
―――なぜ、父親と息子の関係を描こうと思ったのですか?
柚月さん:
私の父親世代だったり、孝雄世代は弁が立つ方が少ないように思う。「言わなくても通じるだろう」とか、「俺の背中を見て育て」じゃないんですけど、でも、言葉にしないと伝わらないことがあるって常に感じていた。その中で一番ぎくしゃくしそうな父親と息子という設定にしました。
―――悟のちょっとした嫉妬が愛おしいと思てって...。
柚月さん:
年齢としてはいい大人なんですけど、「ここでヤキモチ焼くの?」って。けど、子どもであろうと、大人であろうと、人ってやっぱり愛されたいという気持ちは誰もが持っている。いかに登場人物の気持ちが変化していくか、悩みながら書きました。
柚月さん:
家族や色々な人間関係を見ると、「この人のため」とやったことが、その人にとっては、心が傷つくことだったり、みんな誰かを思っているけど、ズレてズレて、お互いに怪我をしてしまう。言おうかな?言わないでおこうかな?そう思っている方がいらしたら、言ってみよう、聞いてみようと、思っていただければうれしい。
*思いを言葉にして伝える大切さに気付かせてくれる物語です。
ひとこと
あまり推理小説を読まないので、なかなか読む機会がなかった柚月さんの作品。今回は家族小説とのことで、これなら読めそう!と興味津々インタビューを拝聴しました。ちなみにインタビューで「私の父親世代」という話があったのですが、柚木さんは昭和43年生まれ。確かにこの時代の父親たちは柚月さんのおっしゃるタイプが多い気がします。「男は黙って...」なんてCMもありましたもんね。言わなきゃ伝わらないってこと、この小説を読んだらきっと理解できるんじゃないかと感じました。それでは、また来週。
柚月裕子プロフィール
1968年岩手県出身。2008年『臨床真理』で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。18年『盤上の向日葵』で「2018年本屋大賞」2位。その他の著書に『慈雨』『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』『暴虎の牙』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『教誨』など。(Amazonより)