えとせとら本棚

新しい本との出会いにわくわく。一冊の本から次の一冊へ。

【新聞】鳥獣戯画の国 (たのしい日本美術):金子信久(2020年10月3日掲載)

 

 

毎週土曜日に掲載されている朝日新聞書評欄から、気になったものをピックアップして掲載しています。毎週、幅広いジャンルが紹介されていますが、あくまでも私自身が「気になる」という視点で選んでいます。読書リスト的なページです。

 

今週はこの一冊です。

 

鳥獣戯画の国 (たのしい日本美術):金子信久

 

 

 

書評は横尾忠則(美術家)さん。

サルの僧侶がカエルの御本尊(仏像)にお経をあげている場面は笑っちゃう。このおかしさは、その後の時代の動物画に影響を与えている。本書に登場する動物は人間や社会を風刺したり揶揄(やゆ)しているなんて考えない方がいい。
だが、明治時代の河鍋暁斎(かわなべきょうさい)の登場に至って、不必要と思っていた「なぜ」が突如、社会の表舞台に立って、社会的発言を始めた。こうした風潮は西洋的知識人の発想である。それはそれで面白いが、やはり絵の魅力はフォルムの表現描写にある。「鳥獣戯画」に意味づけして、そこに風刺を宿らせて頭で考えると、とたんに絵の魅力から離れてしまう。━書評一部引用

 

■内容

  国宝、鳥獣人物戯画のレジェンドとしての輝き。私たちの心を遊ばせてきた、「楽しまれてきた歴史」。この絵巻が生まれるべくして生まれた日本という国を眺めてみよう。
残された様々な模写だけでなく、伊藤若冲、歌川国芳、河鍋暁齋、曽我蕭白、森狙仙……動物が好きすぎる絵師たちのユニークな作品に受け継がれた、--鳥獣戯画--の遺伝子。それは昔話や伝説の中でも確認できます。「伝説的なおかしな動物の絵」が、どのように日本人の心をとらえ、動物絵画のスタイルとして定着してきたか。府中市美術館でのユニークな企画で注目を集める著者による、新しい動物絵画史。かわいくて、愉快で、どこかおかしい--そんな愛おしい作品を多数掲載。━━━━Amazonより

  

鳥獣戯画、日本の美術界でも人気作品の一つですよね。たくさんの鳥獣戯画のグッズもあり、多くの日本人に愛されています。観れば「かわいい~~」と顔がほころぶ動物たち。そんな鳥獣戯画をしっかり美術的に鑑賞してみる時の参考として大いに役立ちそうな一冊ですね。
 

 

鳥獣戯画の国 たのしい日本美術 (講談社ARTピース)

鳥獣戯画の国 たのしい日本美術 (講談社ARTピース)

  • 作者:金子 信久
  • 発売日: 2020/07/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 同著者のこちらも面白そうです。

かわいい江戸の絵画史

かわいい江戸の絵画史

  • 作者:金子 信久
  • 発売日: 2020/04/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

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朝夜の気温差が激しくなって来て、暑いのか寒いのか、日々、着るものに苦戦中です。そんな中、金木犀の香りがどこからともなく漂ってくる時期。自然の移ろいだけは、どんなことがあってもきちんとやって来る。そんなことにホッとする今日この頃です。

ということで、今週はここまで。それではまた来週!