ニッポン放送あなたとハッピー!2021年4月8日放送分
新潮社の中瀬ゆかりさんが番組内のコーナーで紹介した本と、お話をざっくりまとめて載せていきます。
番組はこちら!radikoでも聴けますよ!
毎回、話題の本が登場!さぁ、今週はどんな本と出合えるでしょうか?
早速見て行きましょう。
正欲:朝井リョウ
■著者略歴
1989年、岐阜県生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業。
2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞受賞。
受賞作がベストセラーになり、現役大学生作家として注目される。
男子チアリーディングチームを取材した書下ろし長編『チア男子!!』
(第3回高校生が選ぶ天竜文学賞受賞)━━Amazonより
■内容
あってはならない感情なんて、この世にない。
それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。
息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づいた女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。しかしその繋がりは、"多様性を尊重する時代"にとって、ひどく不都合なものだった――。「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」これは共感を呼ぶ傑作か?目を背けたくなる問題作か?
作家生活10周年記念作品・黒版。あなたの想像力の外側を行く、気迫の書下ろし長篇。━━Amazonより
中瀬さん:
独特の言語センスと感性をお持ちで、私ももちろん朝井さんの作品はほとんど読ませていただいている。間違えなくこの「正欲」は朝井リョウの最高傑作だと思います。作家生活10周年記念作でもあるんですが、ちょっとね、読んだ後、放心しましたね。すごい作品読んじゃった。いいの?っていう。自分のなかの何かよろしくないものがダダ漏れになってるし、あと、凝り固まったこうであろうという常識とかが覆されていく。
書店員さんたちがコメントしてくださっている中に「読む前の自分に戻れない」という一行があって、まさにそれだなって思うくらいショックを受けました。
高橋源一郎さんが帯を書かれているんですけど、「みんなのヒミツ暴かれた。朝井さんやっちまったね、どうなっても知らないから」。川谷絵音さんも、「この作品は人を生かしも殺しもする。これ以上は言葉に出来ない」と絶賛されていた。これ読んだ社内の人も物凄く語り合いたく、でも悲しいかな、あらすじをあんまり話してしまうとダメなんですよ。これ。できるだけあんまりいろんな情報を入れないで読んでもらいたいんで、最低限のことしか申し上げませんけど.....
(ここであらすじ紹介)
中瀬さん:
あらすじを簡単に書けない作品ではあるんだけれども。これ作った担当編集者が作者が作った爆弾をそのまま受け止めて欲しいってことを言っているんですよ。爆弾とあえて評してますけど。
今、多様性多様性って言われてますけど、その多様性と言う言葉をこんな形でとらえたことはなかったと、目からウロコが100枚くらい落ちるような描写続くんです。
みんな違って、みんないいとかね。いろんな人がいるよね、みたいなことのなかから零れ落ちているものがたくさんあって、それを見ないで多様性多様性と美しい言葉として使っているけれども、そこのところをね、喉元に刃を突き付けられるような思いでそこを読んでしまいました。欲のなかでも正しい欲、そうでない欲、異常とか正常とかなんだろう?みたいな、もう本当に生きることは何だろう?ぐるぐるぐるぐる.....。
冒頭の数ページで「えっ」っていうナイフがグサグサ刺さり出して、そこからパッと変わってある事件が報道されていて、どういう展開?っていうところから止まらなくなる。
敢えて今日は寸止めみたいな紹介をしてしまったんですけど、構成も、読者をどこに連れて行くか分からない。すごい場所へ連れて行かれることは間違いない。こんな面白い小説ね、読まないと損ですよ。ほんと、人生を変えるような1冊です。
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<感想>
やぁ―今日のブックソムリエのみなさんの感想の熱量が凄かったなぁ。あらすじを細かく言わない分、なんかとても気になります。朝井リョウさんのエッセイが好きでそちらは読んでいたのですが、小説は未読なので、この小説からデビューしようかなあと思いました。とにかく「なんか凄そう」という本日のブックソムリエでした。
それでは、また来週!
★過去のラジオ棚はこちらです。
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この4月から垣花さんがMCになった「5時に夢中!」。中瀬さんはこちらの番組でもエンタメ番付のコーナーをお持ちです。姉妹サイトうずまきぐ~るぐるで紹介してますので、合わせてお楽しみください。
ではまた!