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【王様のブランチ・BOOK】島本理生さんインタビュー<大友花恋 対談企画>(2022年11月12日 )

 

王様のブランチのBOOKコーナーで紹介された本を紹介します。

 2022年11月12日こちら!!

■憐憫:島本理生

憐憫

憐憫

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■内容

 

■著者について

1983(昭和58)年、東京生れ。1998(平成10)年、「ヨル」で「鳩よ!」掌編小説コンクール第二期10月号当選(年間MVP受賞)。2001年「シルエット」で群像新人文学賞優秀作を受賞。2003年「リトル・バイ・リトル」で野間文芸新人賞を受賞。2018年『ファーストラヴ』で直木賞を受賞。著書に『シルエット』『リトル・バイ・リトル』『生まれる森』『ナラタージュ』『一千一秒の日々』『あなたの呼吸が止まるまで』『クローバー』『波打ち際の蛍』『君が降る日』『真綿荘の住人たち』『あられもない祈り』『アンダスタンド・メイビー』などがある(新潮社著者プロフォールより)

 

■インタビュー

 

まずは、花恋が恋した一冊から。

 

―――癒されたいときに、こういう恋愛小説がそばにいてくれると嬉しい。

 

島本さん:

実はその小説を書き始めたのは出産して1か月後の時で、布団の中でスマートフォンに書いていたんです。買い物に行きたいとか、お酒を飲みに行きたいとか、友達と遊びたいとか、全部できない。じゃあ、小説の中で華やかな物語、恋愛を描きたいなと思って書いていました。

 

―――恋をすることと、生きていることは同じようなものなんだなぁと感じました。

 

島本さん:

恋愛はエネルギーと生命力だと思うんですね。短い時間の中で、惹かれ合って知っていくってすごく体力がいる。その感想はまさにそうだと今思いました。

 

―――普段、島本さんが恋愛小説を書かれるときに、心掛けていることはありますか?

 

島本さん:

すごい、難しい。読んだ人全員に理解されようと思って書いていない。100組いれば100通り、できるだけ多くの人に共感してもらいたいというのはあるんですけど、誰かたった一人、ピンポイントで届くかもしれない。そういう風に書くことが多いですね。

 

―――私にピンポイントでぶつかって来たなって最新作「憐憫」。この小説はすごく刺さりました。

 

 

島本さん:

この小説、そもそも大長編というわけではないんですけど、書き始めたのは6年前。大人と少女の間にいる主人公が一旦白紙の状態でお互い名前も肩書も知らない相手と運命的に出会う。

 

―――こんなに心を揺さぶられてしまったら、読み切れないかもしれないって思うくらい、全て持っていかれました。新幹線に乗りながら読んでいた。東京駅まで行こうと思っていたのに、もう、、ちょっと人と話せないと思って大宮駅で降りて、それくらいエネルギーを動かされた。

 

 

島本さん:

物語のむかうところ、主人公の沙良の願望は自分の力で自分の納得できる形で成功すること、女優として。それを考えた時に、やっぱりそばに精神的に支えてくれたり、仕事を理解してくれたり、すごく深いところで分かり合ってくれるような人の存在が必要なんじゃないかって思ったんですね。

 

―――途中から沙良と自分の境目がなくなってしまって....。まっさらな状態で自分と向き合ってくれる人がいるってことは、沙良にとっての救いだったんだなってことはすごく感じます。

 

―――読んでいるときはすごく楽しかったのに、読み終わってから涙が止まらなくなってしまって、でも、全部泣き終わったあとに、世界がくっきり見えて、すごく救われました。

 

島本さん:

主人公が女優さんで、まぶしい世界の中で頑張っている設定だったので、実際に人前に出る方に読まれるのが、一番緊張するんです(笑)舞台関係の方、テレビ局の方に取材をしたんですけど、想像で膨らませた部分も大きくて。なので今すごくホッとしました。

 

―――しばらく抱えながら(本を)眠りたいと思います。

 

*誰かを想うことは苦しくて切なくて、そして楽しい。繊細な心情を描いた1冊です。

 

■感想

今日はいつもよりインタビューが長かったような??花恋さんの思い入れが強い一冊になったようですね。新幹線を乗り越したの思ったら、少し前で降りたとか。そういう読書もあるんだなぁ。そして、スマートフォンで小説を書いていたという島本さん。こちらもそういう執筆活動もあるんだなぁと。読む側、書く側、それぞれのスタイルが垣間見れて面白かったです。それでは、また来週!

 

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■本日取り上げられた書籍 の一部

 

東急沿線に住み続けたい理由や駅周辺の魅力を綴った一冊

 

落合流、本全体の10%程度を頭に残す