村岡俊也 著『穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って』の紹介です。
ニッポン放送あなたとハッピー!2023年9月28日放送分
新潮社の中瀬ゆかりさんが番組内のコーナー紹介した本と、お話をざっくりまとめて載せていきます。 番組はこちら!radikoでも聴けますよ!
毎回、話題の本が登場!さぁ、今週はどんな本と出合えるでしょうか?早速見て行きましょう。
今日のブックソムリエはこちら。
穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って:村岡俊也
内容
「今年は天才がいるよ」。東京藝大の卒業作品展で中園の油彩画を観た彫刻科の教授は、そう感想をもらした。この直感は的中し、その後、中園の作品は東京都現代美術館や神奈川県立近代美術館に所蔵され、六度の個展開催、グループ展への出品など、評価と人気の高まりはとどまるところを知らない。 著者の村岡俊也はこの藝大教授と偶々アルバイト先で出会ったことから、中園の存在を知る。また、奇しくも鎌倉の美大予備校で中園に絵を教えた講師とは旧知の仲だった。めぐりあうべくして中園にめぐりあった村岡はご両親の紹介などを受け、中園を知る人たちから丹念に話を聞いていく。そこで浮かびあがってきたのは、絵画作品と同じくらいに不可思議で、魅力あふれる人物像だった。甘いマスクとは裏腹に危険な場所に赴くことを好み、都心やヨーロッパで野宿してまわる。向こう見ずで、天使のような慈愛に満ち、親交のあった人たちや彼女たちの回想するエピソードは青春映画のワンシーンのよう。150冊ものノートには自身や周囲、絵画への悩みや葛藤も綴られ、若くして手にした成功とは別に暗い影に囚われていた。夭折したアーティストの伝記や評伝は数あれど、圧巻の大傑作です。(Amazonより)
放送内容
以下、番組内の話の要点になる部分を簡潔に載せています。
・私もこれで中園孔二の世界にハマって、今この絵にとり憑かれています。
・中園孔二は東京芸大時代から注目されていたが25歳で急逝。
・とにかく描き続けていた画家。その画家と作品を余すことなく1冊にまとめた本。
・作者の村岡氏も中園氏に魅せらたひとり。追えば追うほど魅力にはまっていく。
・8年の画家人生で600点の作品を残し、多くの人々に影響を与える。
・150冊にのぼるノートが残っていて、このノートをもとに中園さんの考えていたことを読み解きながら進めている。150冊分のエキスが入った内容になっている。
・彼の特徴は一見「いい子」で「人気者」。ではあるが、突然森に出かけたり、全く知らない土地をただただひたすら歩いてみたり、芸術家ならではの独特なものの見方や行動があったよう。
・作品はちょっと怖いような絵。人間なのか、幽霊なのか、訳の分からない生命体がうごめいたり、暴力的なものもある。セクシャルなものも。不気味さもあるけど、可愛らしさもある。不思議な魅力にあふれている。
・ジーっと見ていると、背景からまた別のものが浮かび上がって来る。非常に深い。
・これ欲しいなって思って、担当者に聞いたら「物によっては何千万かするらしいですよ」って言われた。
・人によっては子供が描いた絵と言う人もいる。
・アートに生きる若者たちの青春群像も生き生きと書かれている。
・芸大の中では「中園シンドローム」があり、中園さんっぽい絵をみんな描いてしまうくらいの影響を受けている。中園氏から離れたいけど、中園氏に吸い寄せられる。
・疾走感のある文章。駆け抜けた彼と歩調を合わせるかのように、我々も駆け抜けて読んでしまう。
・寝る前にこれらの絵を見つめなおしている。最初に見た時と全然印象が変わっている。
・天才画家・中園孔二の濃密な駆け抜けた8年に触れることで、忘れられない存在になることは間違いないと思います。
村岡俊也プロフィール
1978年生まれ。鎌倉市出身、同市在住。ノンフィクション・ライター。東京藝大卒業作品展で中園晃二の絵画を観て「今年は天才がいるよ」と感想を漏らした藝大教授を通してその存在を知り、中園の通った美大受験予備校の講師とは旧知の仲だった。著書にアイヌの木彫り熊職人を取材した『熊を彫る人』のほか、『酵母パン宗像堂』(ともに写真家と共著、小学館)、『新橋パラダイス 駅前名物ビル残日録』(文藝春秋)がある。(新潮社・著者プロフィールより)
感想
珍しくアートを取り扱ったノンフィクションが紹介されました。中園孔二さんのことは今回初めて知りましたが、中瀬さんのお話を聴いているだけで、どんどん興味が湧いてきました。そしてどんな作品を描いたのだろう~って気になり、思わず検索しちゃいました。これは個展などで肉眼で見たいなぁって思わされました。まずは本書でその魅力にハマってみたいと思います。中園氏のお友達のエピソードも面白そうでしたよ。「芸術の秋」「読書の秋」にぴったりな1冊ですね。それでは、また来週!
中園孔二の関連書籍
中園孔二 ソウルメイト Koji Nakazono: Soulmate
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