王様のブランチの作家インタビューの内容を紹介します。
嘘をついたのは、初めてだった:講談社
本書は、大御所ミステリ作家から期待の新鋭まで、バラエティ豊かな面々が集まって出来た1冊。しかも、物語の書き出しの一行は29作全員一緒。「嘘をついたのは、初めてだった」という一文。
今回は、五十嵐律人さんと芦沢央さん、二人の作家さんにインタビューです。
インタビュー
―――「嘘をついたのは、初めてだった」から始まる話を書いてくださいと依頼された時にどう思いましたか?
五十嵐さん:
難しいなって思いました。
芦沢さん:
そんなことある?って。
―――自分が想定している何十倍もいろんな嘘が詰め込まれてますよね!
芦沢さん:
私は今回自分が書いて他の人のを読んだら、めちゃくちゃ面白かった。え、こんな方法があるんだ!って。よくこんなこと思いつくなって。ぜひ、読者の方も読む前に、そんなシチュエーションならあり得るだろう、自分だったらどんな話を作るだろうなど、考えてから読むと、2倍3倍面白が増すと思う。
―――(芦沢さんの作品について)本当に切ない気持ちになりました。こんなに短い物語の中で、こんなに感情が湧き出て来るものなんだって。
芦沢さん:
嘘をについての話なので、嘘みたいな悲劇が起こるといいなみたいなところから、そこでしか繋がれない一瞬の煌めきを...みたいな感じですね。
(五十嵐さんの作品について)
五十嵐さん:
最初に嘘をつくという設定は大事にしたかった。どれだけ一つしか付けない嘘に、いろんな想いを込められるのか挑戦してみたいのがあって、それがいろんな方向に向かって想いが波及していくところを書きたかった。
芦沢さん:
嘘をつかざるを得なかった理由の切実さに心を打たれて、それでも茜ちゃんとの約束を守る道なんだな....というところにすごく感情を揺さぶられました。
五十嵐さん:
嬉しいの一言に尽きますね(笑)書いて良かったなって。
*同じ書き出しだからこそ生まれる色とりどりの嘘を楽しめる1冊です。
ひとこと
たまにこういう面白い企画を出版社が考えますね~。今回は書き出しが同じ一文ということですが、ある意味作家の腕の見せどころになるわけだから、依頼を受けるのも勇気が要りますよね。とは言え、今回のインタビューを見ていると、作家さん同士、楽しんでいるムードで、芦沢さん、五十嵐さんの作品について、完全に読者目線のハイテンションで感想を話されていました。お題を出されてそれに取り組むって感じは、ちょっと宿題をするみたいな感じかな。出来上がったものをクラスメイトに発表するみたいな....。なんてことを第三者目線で考えながら拝見しました。