王様のブランチの作家インタビューの内容を紹介します。
カーテンコール:筒井康隆
インタビュー
―――今回、最後の作品集と言われていますが、周りの方の反響はいかがですか?
筒井さん:
「信じません!」と言っているのは、担当者だけ(笑)みんな、そろそろ死ぬんじゃないか?と思っている。売れているのは、それもあると思いますよ。
―――笑っていいのか...。
筒井さん:
一番最後だと思うからこそ、この作品集が出来たわけで、それだけ一生懸命やったということです。
―――最近ですけれども、TikTokで再び注目されていますけど、若い読者が増えていることについてどう思われますか?
筒井さん:
時々ファミマなどで若い人が声を掛けてきて、「大ファンです」って言ってくれるから、あーこんな若い人でも読むんだって、それは喜びでもありますね。
―――新たに筒井作品デビューされる方はたくさんいるかと思うんですけど、そういった方たちにおすすめしたいご自身の作品はありますか?
筒井さん:
とにかく一番最近の作品集を読んでください。
―――クスッと笑えた話がたくさんあった中で、「川のほとり」は、ホロっと来てしまった。
筒井さん:
これは、2020年に息子が死んだ。それをひとつ書いてやろうと。こう書けば泣くだろう....で書いて、案の定、「泣きました」って声が返ってくると、「ざまあみやがれ」とニヤッと笑う。そんなもんですよ、作家ってもんは。
―――私はホロリホロリと涙が出てしまったんですけど。
筒井さん:
思うツボだな(笑)
―――タイトルの「カーテンコール」の裏話。
筒井さん:
本来ならばカーテンコールをやってからプレイバック。ところがプレイバックをラストにするとね、チャンドラーの名作にあるんですよね。百恵ちゃんも歌っているよね。仕方ないからカーテンコールにしたが、不安になって、カーテンコールは他にないかと調べたらタイトルにしている人がいる。せっかく避けたのにね。やっぱり確かめなきゃね。しまったって思いますよね。
―――今回一区切りつけられた今、ファンの方々に伝えたいことはありますか?
筒井さん:
どんなことでもいいです。自分の一番やりたいことをやりなさい。それはお金にならないとか考えてちゃいけない。とにかく自分の好きなことは一番熱心にできるし、一番上達する。ぜひ、そうやって欲しいと思います。
―――素敵な言葉をありがとうございます。泣きそうになりました。
ひとこと
動く筒井先生を拝見したのは初めてかも!お着物を着て、古民家のようなご自宅にいらっしゃるお姿はまさに大先生!って感じでしたが、お話からにじみ出る温かい感じがなんとも魅力的な方です。本作は25編の短編集だそうです。「川のほとり」は、先生の思うツボでもいいので、絶対読みたいです。筒井作品は「時をかける少女」が流行った時代に読みましたが、最近読んでいなかったなぁと。久しぶりの再会作品になりそうです。楽しみ~。それでは、また来週。
筒井康隆プロフィール
1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1997年、パゾリーニ賞受賞。他に『家族八景』『邪眼鳥』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』など著書多数。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。(Amazonより)
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2021年に新聞書評で取り上げられていました。その時の内容を私もまとめていました。