君だけのブックガイド「ひとりぼっちの孤独を感じた時に読む本」をまとめています。
番組内容
静かな森の中にある、プライベート・ライブラリー「理想的本箱」。 あなたの漠然とした不安や悩み、好奇心に答えてくれる一冊を、この世に存在する数えきれない本の中から見つけてくれる、小さな図書館です。 これから長い人生を生きていくあなたに素敵なヒントを与えてくれる本を、あなたの心に寄り添って一緒に見つけてゆきます。
出演者
理想本棚主宰―吉岡里帆(俳優)
理想本棚司書―太田緑ロランス(俳優)
理想本棚選書家―幅允孝(ブックデレクタ―)
今回のテーマは「ひとりぼっちの孤独を感じた時に読む本」です。(2024.5.11放送)
(以下、放送内で語られたポイント部分をコンパクトに記載しています)
今週の3冊
ひとりたのしむ:熊井守一
・熊谷さん97歳の長寿をまっとうされた方。
・その生涯は決して順風満帆ではなく、貧困、子どもの死、戦争を経験。また画家として自身に納得がいかず、描けない、食えない時代が長く続いた。60,70代でやっと作品が評価されるようになってきた。文化勲章を辞退するなど、静かな生活を望んだ。
・孤独の果てに辿り着いた画家の純潔な画と言葉を紹介する一冊。
「獨楽」=ひとりたのしむ
・自分を優先すること、大切にすること、そして自由であることのメッセージがある。
ここに素敵なものがある:リチャード・ブローデシカン
・著者は感情的で不安定な母親の元で育つ。父親のいない貧しい家庭だった。
・21歳でビートジェネレーション(アメリカの物資文明に反抗し、既成概念にとらわれない世代)の影響を受けて、サンフランシスコに渡り、職を転々としながらひとり孤独に執筆を続けた。
・この詩集では人間の悲しさ、寂しさが書かれている。また、人間の狂気にも触れられているんですが、彼の記した言葉は、何故か穏やかで優しい響きがある。
・不思議な読後をもたらす短い言葉がまとまった詩集。
・ささやかに吐き出された孤独の言葉が優しく誰かを包むような一冊。
Sunny:松本大洋
・本書は松本さんの実体験がもとになっている。様々な事情から親と一緒にいられない児童養護施設・星の子学園での日々の生活が描かれている。
・施設の片隅にある壊れた車Sunnyが、子供たちの遊び場になっている。大人はそこに入れないという決まりがある小さな聖域。
・子供たちが孤独や寂しさと折り合いをつける純真さと救いの物語。
後記
今回紹介されたそれぞれの孤独の本から、孤独の時間って感覚が研ぎ澄まされていくような、いろんなものがクリアに見えて来る時間でもあるんだなぁということを感じました。特に熊谷さんの孤独はまさに獨楽。孤独に浸っているという印象もなく、日々自由で、自分の好きなことに打ち込んでいて、とても有意義に感じました。世の中「おひとりさま」が定着しつつある。いかに孤独を楽しめるか。これからのみんなのテーマでもありますね。それでは、また来週。
過去の放送分はこちらから。これまで様々なテーマが放送されました。
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オーダーメイドのライブラリーというコンセプトの番組です。ミニドラマ(映像の帯)や、朗読、くわえて解説で本の紹介するので、大変内容がつかみやすく、作品がぐっと身近に感じられる番組です。老若男女問わず、誰が見ても楽しめると思います。