えとせとら本棚

新しい本との出会いにわくわく。一冊の本から次の一冊へ。

<中瀬ゆかりのブックソムリエ2025>『逃亡者は北へ向かう』 柚木裕子著の紹介

 

『逃亡者は北へ向かう』 柚木裕子著の紹介です。

 

ニッポン放送あなたとハッピー!2025年3月20日放送

新潮社の中瀬ゆかりさんが番組内のコーナー紹介した本と、お話をざっくりまとめて載せていきます。 番組はこちら!radikoでも聴けますよ!毎回、話題の本が登場!さぁ、今週はどんな本と出合えるでしょうか?早速見て行きましょう。 

逃亡者は北へ向かう

逃亡者は北へ向かう

放送内容

以下、番組内の話の要点になる部分を簡潔に載せています。

・東北を舞台に描いた描いた震災クライムサスペンス

・柚木さん、実は震災で親御さんを亡くしている。大変辛くしばらくは震災の小説は書けなかったわけですけど、今回震災を背景にした小説を書き上げた。柚木さんにとっても特別な一冊になったと思う。

・核になる登場人物3人は、漁師、刑事、逃亡殺人犯。三者三様の人生を歩んできた。

・そして背景には震災の混乱がずっとあり、悲惨なドラマが横たわっている。

 

 

 

 

 

・細かい心理描写が素晴らしい。各々が抱いているものとか、避難所や遺体安置所などの場面は本当に現実感が宿っている

・人の悲劇と社会の混乱がみごとに絡み合いながら、本当にこういう物語がどこかにあったのかもしれないというリアリティ

サスペンスという視点で読むのも面白い。

自分で泣き止む力の大事さ。

最後まで目が離せない展開になっている。どこに辿り着くのか確かめる意味でも是非、手に取っていただきたい一冊です。

著者プロフィール

1968年、岩手県生まれ。2008年、『臨床真理』で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。2013年、『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞を受賞。2016年、『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。他に、『慈雨』『盤上の向日葵』『ミカエルの鼓動』『教誨』『風に立つ』など著書多数。(新潮社・著者プロフィールより)

感想

震災で親御さんを亡くされた柚木さん。書くのが辛かった部分も相当あったのではないでしょうか。「現実感が宿っている」という言葉が中瀬さんから出てきたのも、随所にそう感じられるシーンがあったのだと思われます。震災が背景にある震災クライムサスペンス。かなり骨太でハードな小説と思われるだけに、読むときはちょっと覚悟が要りそうですね。それでは、また来週!

★過去のラジオ棚はこちらです。

中瀬さんはこちらの番組でもエンタメ番付のコーナーをお持ちです。姉妹サイトうずまきぐ~るぐるで紹介してますので、合わせてお楽しみください。