王様のブランチで紹介された作家のインタビューをまとめて掲載しています。
インタビュー
辻堂さん:
SNSの短い断片的な情報や新聞の速報記事であるほど、勝手に想像して、こいつが悪かったんだとか、そういうことを書き込みがち.....みたいなとこがあると思うんですよね。
―――偏見が強いことに気づかされました。
辻堂さん:
そうですね。誰しも先入観、思い込み、決めつけみたいなことに、気を付けようと思っていても、やっぱり思い込んでしまう。それを炙り出すようなものになればなぁと思って書きました。
辻堂さん:
まず読み始めると、想像していた登場人物・関係性じゃないということを感じていただけるかなと。そのあとにミステリーとしての真相もある。
―――すごくいい親子に見えたからこそ、これがあんな事件につながるとは本当に思えなくて。
辻堂さん:
読者は結末を知っている状態なので、そこがどうなるかを楽しんでもらいたい。
―――あの事件が起こるとは思えない、すごく穏やかな日常が描かれていますよね。
辻堂さん:
そこも結構大切にしたところではあって。
―――そこから一気に物語がひっくり返ったときに、物語全体の見え方が変わってくる。
辻堂さん:
そうですね。最初にニュース記事を読み始めた時と、物語が着地した時で全然違うものが見えて、できたら冒頭のニュース記事をもう一度読んでもらえると、本当に違う印象が味わえるんじゃないかと思っております。
*ありふれた事件の裏にある、奥深い人間ドラマを描いた物語です。
辻堂ゆめプロフィール
1992年神奈川県生まれ。2015年、第13回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し『いなくなった私へ』でデビュー。『トリカゴ』で第24回大藪春彦賞受賞および第75回日本推理作家協会賞候補、『十の輪をくぐる』で第42回吉川英治文学新人賞候補。2022年『卒業タイムリミット』がNHK総合で連続ドラマ化。著書に『二人目の私が夜歩く』『山ぎは少し明かりて』『ダブルマザー』などがある。(Amazonより)
ひとこと
確かに最近はSNSなどの短い記事で、事件の内容を知った気になることが多い。なので思い込みや決めつけなんかも多くなっている今日この頃。5編からなる短編集。短いけどとても重みのある話。胸がざわつくラストが待っているそうですよ。それでは、また来週。