王様のブランチのBOOKコーナーで紹介された本を紹介します。
2020年7月4日分はこちら!!
今回はシンガーソングライターのあいみょんさんのオススメ本・3冊です。
あいみょんさん、遠征に行くときは3冊くらい持って行くそうですよ。本が歌に与える影響は?との質問に、10代のころは官能小説も読んでいて、言葉の言い回しや比喩表現の勉強になったとのこと。最近読んでいる本はあくまでも読者として楽しんでいるだけだそうです。
1冊目 「自分では絶対、思いつかない!と感じた小説」
木になった亜沙:今村夏子
あいみょんさん:
その視点ってどっからくるんやろ?って凄いなと思った。同じ表現者として見てしまうと、生活を覗いてみたいなぁと思います。最終的に「お~」と思う結末が待っていますと。
■内容
主人公の亜沙の幼い頃のからの悩み、それは、自分の手から渡したものを誰も食べてくれないということ。例えば、給食当番になると誰も亜沙のところに並ばなかったり、水槽に入れたエサを金魚が食べてくれなかったり。絶望した亜沙は杉の木に生まれ変わり、そして割り箸になる。
■著者について
1980年広島県生まれ。2010年「あたらしい娘」で第26回太宰治賞を受賞。「こちらあみ子」と改題し、同作と新作中編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で11年に第24回三島由紀夫賞を受賞。17年、『あひる』で第5回河合隼雄物語賞、『星の子』で第39回野間文芸新人賞、19年『むらさきのスカートの女』で第161回芥川賞を受賞━「BOOK著者紹介情報」より
私もレビュー書いています!よろしければどうぞ。
2冊目。「読むと痛みを感じる小説」
他人事:平山夢明
あいみょんさん:
理不尽な暴力が詰まっている。読んでいるだけで、痛い、痛い、ってなるんですが、それを他人事で笑って読めちゃう自分も恐ろしいなと思うくらい夢中で読んでしまう。人間のグロさを書かれる方で、すごく好きです。
■内容
理解不能な他人たちが登場する14編。「仔猫と天然ガス」は、身体が不自由な女性にプロレスの技をかけ続ける物語。「定年忌」は、定年を迎えた日に部下たちから暴行を受ける男の話など、他人が生み出す悪意をリアルに描いた短編集。
■著者について
1961年神奈川県生まれ。週刊誌記者等を経て、94年『異常快楽殺人』を刊行。続いて長編小説『SINKER―沈む者』『メルキオールの惨劇』を発表し、高い評価を得る。2006年「独白するユニバーサル横メルカトル」で第59回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。同名の短編集は07年版「このミステリーがすごい!」の国内第一位に選ばれる。10年には『ダイナー』で第28回日本冒険小説協会大賞を受賞。映画監督、漫画原作など幅広いジャンルで活躍━━「BOOK著者紹介情報」より
3冊目。「局のイメージにぴったりな物語」
燃えるスカートの少女:エイミー・ベンダー
あいみょんさん:
友人にすすめられて読んだ本。「これ読んだ時にあいみょんのイメージしたから」と言われた。
1話目がすごく引き込まれた。「私の恋人が逆進化している」からはじまる本書。これは読まずにはいられない。神秘、不可解、でも人間らしい不可解な愛の話がいっぱい入っている感じです。人間が進化していく話はいくらでも聞いたことがあるけれど、恋人が逆進化していくなんて、なかなか聞いたことがない!
■内容
16の物語からなる短編集。人間から逆進化してゆく恋人、戦争で唇を失いキスができない夫、父親が死んだ日に客たちとセックスする図書館員、火の手と氷の手をもつふたりの少女…想像と言葉の魔法を駆使して紡がれる、かつてない物語。不可解なのに現実的、暗く明るく、哀しくて愛おしい。そこから放たれる奇跡的な煌めきに、私たちはいつしか呑み込まれ、圧倒され、胸をつかまれる―。各国で絶賛された傑作短編集、待望の文庫化。━「BOOK」データべースより。
■著者について
1969年生まれ。カリフォルニア大学アーヴァイン校創作科出身。最初の短篇集となる本書で書評家から絶賛を浴び、鮮烈なデビューを果たす。2000年に初長篇『私自身の見えない徴』を発表。LAタイムズ紙の注目の一冊に選ばれ、後に映画化される。05年に短篇第二弾『わがままなやつら』を刊行、10年には長篇第二作『レモンケーキの独特なさびしさ』で全米ベストセラー入り。13年には短篇第三弾『The Color Master』を刊行。南カリフォルニア大学で教えながら執筆を続け、独特な世界観でファンを魅了し続けている。━━「BOOK著者紹介情報」より
<感想>
3冊とも全部それぞれ違う不思議さがある本で揃えてみてみました、とあいみょんさん。私はこの中で「木になった亜沙」 を読みましたが、まさに不思議で切なくて痛い気持ちが残っています。
あいみょんさん、読書家ですね。わりとパンチのきいた作品が好きなんじゃないかな。音楽を作る人が読む本という意味でも、非常に興味深い本日のbookコーナーでした。
今週はここまで。それでは、また来週!!