毎週土曜日に掲載されている朝日新聞書評欄から、気になったものをピックアップして掲載しています。毎週、幅広いジャンルが紹介されていますが、あくまでも私自身が「気になる」という視点で選んでいます。読書リスト的なページです。
今週はどんな本が登場しているのでしょうか?見て行きましょう。
言葉の守り人:ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチ
書評は温又柔(小説家)さん。
読者は、マヤ神話のモチーフ、マヤ思想に根づいた哲学、マヤ語による呪文やオノマトペがちりばめられた本書をめくれば、マヤの人々の「過去が現在と再会する」貴重な瞬間に立ち合うことができる。しかもその瞬間は、いまを生きる私たちの指針としてもきらりと光るものばかりだ。━━書評一部引用。
Amazonより
「ぼく」はある時、祖父のグレゴリオおじいさんに呼ばれ、マヤの伝承の語り手たる〈言葉の守り人〉に選ばれた。「ぼく」はおじいさんに連れられて、神々と精霊たちが棲まう森へ、夜ごと修行に出かけるようになる。
不思議な鳥たちとの邂逅、風の精霊の召喚儀式、蛇神の見せる夢と幻影の試練……「ぼく」は森の中で不思議な体験をしながら、おじいさんから〈言葉の守り人〉を継ぐために必要な、世界と言葉のもつ秘密を少しずつ教わっていく。
現代マヤ語文学を代表する作家ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチによる、神話の森を舞台に少年が受ける通過儀礼と成長を描いた、呪術的マヤ・ファンタジー。
2冊目です。
こどもたちはまっている:荒井良二
書評は最果タヒ(詩人)さん。
こども、というのは、世界に繊細に反応し続け、それそのものが「自分」の思いとして、信じられた時期のこと。だから世界の鮮やかさや驚き全てが、こどもたちを形作り、こどもたちそのものになる。その感触をこの本は大人たちにさえ思い出させる。━書評一部引用
Amazonより
今日も水平線から日が昇る。いつもの風景、季節の移ろい、突然の雨、特別な夜。繰り返す日々のなかで、みんな、いつもなにかを待っている。
船が通るのを、貨物列車を、雨上がりを、夜明けを……。
国内外で活躍する荒井良二の新しい代表作が誕生!
破局:遠野遥
書評は武田砂鉄(ライター)さん。
陽介は、やたらと肉を食らう。突き放すように食う。他人に対しても、そして自分に対してもそんな態度だ。引き寄せては放り出す。価値を固定しようとする動きから、逃れようとする。どことなく虚無感に貫かれており、その虚無の中で何かしらが蠢(うごめ)いていることはわかるのだが、その正体をいつまでも発見させない。━━━━書評一部引用
Amazonより
私を阻むものは、私自身にほかならない――ラグビー、筋トレ、恋とセックス。ふたりの女を行き来する、いびつなキャンパスライフ。28歳の鬼才が放つ、新時代の虚無。【第163回芥川賞受賞作】2019年文藝賞でデビューした新鋭による第2作
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今週は過去と現在が再会するような三冊でした。マヤであったり、こども時代であったり、キャンパスライフであったり。過去と現在を行ったり来たり、頭の中が忙しくなりそうですね(笑)
結局、この夏もコロナ一色になってしまいました。いつまでこの状況が続くのか、考えただけで気持ちが沈みますが、本はどんな時でも寄り添ってくれる存在、有難いです。
ということで、今週はここまで。それではまた来週!