王様のブランチのBOOKコーナーで紹介された本を紹介します。
2020年9月19日分はこちら!!
今週の特集は彩坂美月さんの「向日葵を手折る」です。
向日葵を手折る:彩坂美月
■内容
少年少女の成長と、ラストで明かされる真相に、慟哭必至の青春ミステリ!
父親が突然亡くなり、山形の山あいの集落に引っ越した小学校6年生の高橋みのり。分校の同級生と心を通わせはじめた夏、集落の行事「向日葵流し」のために植えられていた向日葵の花が、何者かによってすべて切り落とされる事件が起きる。同級生たちは「あれは向日葵男のしわざだ」と噂するが、さらに不穏な出来事が続き……。あざやかに季節がめぐる彼女の4年間と事件の行方を瑞々しい筆致で描く、烈しくも切ない青春ミステリ。━━Amazonより
■著者について
山形県生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。『未成年儀式』で富士見ヤングミステリー大賞に準入選し、2009年にデビュー(文庫化にあたり『少女は夏に閉ざされる』に改題)。他の著作に『ひぐらしふる』『夏の王国で目覚めない』『僕らの世界が終わる頃』『金木犀と彼女の時間』『みどり町の怪人』などがある。(2020年8月現在)
山形県在住の彩坂さんとリモートインタビューです。
彩坂さん:
私自身、山形県生まれ。やっぱり田舎とか地方都市を書くのが好きなんですね。原風景みたいで魅かれるものがあるのかもしれないです。地域に昔からあるお祭りの雰囲気とか、実際に私が体験したことを物語に織り込んでいます。
(彩坂さんが子供の時)夕暮れの道を帰る時に、角を曲がると、ものすごく背の高い向日葵が立っていたりして、それが人影に見えて、驚いたり怖くなったりした想像力過剰な子供だったんです。
彩坂さん:
地方に住んでいる人だったり、自分の意思で自由にどこかへ行ける状況ではない子どもなど、自分の居場所に対しての愛情と同時に閉塞感や息苦しさを感じることは、決して珍しいことではないんじゃないかなって思います。良くも悪くも「共同体」を書いてみたかった。
作中、彩坂さんが書きたかった台詞があったそうです。
「何かを愛するには、たぶん、いろんな形があるんだ」
彩坂さん:
この台詞は、登場人物すべての行動や心情に繋がるものがある気がします。「いろんな形がある」と投げかけてくれる大人がいることは、みのりたちにとっては、ある意味救いなんじゃないかなって。
閉鎖的な集落の光と闇を描いた青春ミステリー。読書に秋におすすめの一冊です。
<感想>
地方都市を描く作家さんが最近多いなって感じます。私もすでに5-6冊は地方都市が舞台なった小説を読みましたが、彩坂さんがおっしゃっている通り、そこに住む人々は良くも悪くも「共同体」というものを、どの作品からも感じ取れました。本書もそういう部分を存分に描かれている作品なんじゃないかと思います。
それではまた来週!
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