王様のブランチのBOOKコーナーで紹介された本を紹介します。
2022年11月26日はこちら!!
■月の立つ林で:青山美智子
■内容
長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士、親から離れて早く自立したいと願う女子高生、仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩むアクセサリー作家――。つまずいてばかりの日常の中、それぞれが耳にしたのはタケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』だった。月に関する語りに心を寄せながら、彼ら自身も彼らの想いも満ち欠けを繰り返し、新しくてかけがえのない毎日を紡いでいく――。最後に仕掛けられた驚きの事実と読後に気づく見えない繋がりが胸を打つ、心震える傑作小説。(Amazonより)
■著者について
1970年生まれ、愛知県出身。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。 第28回パレットノベル大賞佳作受賞。(ダ・ヴィンチWebより)
■インタビュー
―――あるきっかけから本作を書くことになった。それは?
青山さん:
家の中で過ごすことが多くなって、ふと電気のスイッチつけた。このスイッチの先にたくさんの人の働きがあって、こんな風に社会って繋がっているんだってことをリアルに感じることが出来た。見えないけどちゃんと繋がって、みんなそこにいる。それを書き留めておきたいなって思いました。
―――なぜ、ポストキャストを選んだのか?
青山さん:
コロナ禍で感じたのは、アプリとかインターネットの存在なんですね。これまで以上にすごく心強いいツールになっているってこと感じていて、ポットキャストは誰でも発信出来て、誰でも受信できる。これが今の時代の空気感だなって。
―――コロナ禍が深くかかわっているんですね。
青山さん:
コロナ自体を小説に書くことはとても怖くて、何が正しいのか私はまだ分からない。ただ、この時代の閉塞感とか、モヤモヤした形がはっきりしないことを残しておきたいという気持ちがすごくあります。
―――「看護師のくせに」って言葉、それだけで人を決めつけちゃいけないなって。
青山さん:
言っているほうは軽い気持ちなんですよね。職業でその人が決められてしまうことに納得がいかなくて。この職業だから全部できると思われるのはちょっと辛い。そこはすごく書きたかった。
5人とも見えない誰かに助けられている。でも逆に自分も誰かのことを助けている。本人は自分が誰かを助けているなんて夢にも思ていない。そのことを私はすごく尊いと思ってる。小説だからではなく、実際にこういう繋がりは世界中にあふれていて、そのことがすごく美しいなと思いました。
*物語が一つに繋がった時、何とも言えない温かい気持ちになれる一冊です。
■感想
コロナという時代を経験したからこそ生まれた作品がこの先たくさん出て来るのだろうなぁと感じさせられたインタビューでした。青山さんが自宅の電気スイッチから感じたことが、こんな壮大な物語になるなんて。本当、文学って無限大の世界ですねぇ。どんな展開が待っているのか、気になる一冊です。
それでは、また来週!
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■本日取り上げられた書籍 の一部
デヴィ夫人が語る9つの教え
ふかわりょうが綴る「どうでもいいことの向こう側」