えとせとら本棚

新しい本との出会いにわくわく。一冊の本から次の一冊へ。

【王様のブランチ】辻村深月さんインタビュー<この夏の星を見る>(2023年7月1日 )

 

王様のブランチ・BOOKコーナーで紹介された本を紹介します。

この夏の星を見る:辻村深月

内容

この物語は、あなたの宝物になる。
亜紗は茨城県立砂浦第三高校の二年生。顧問の綿引先生のもと、天文部で活動している。コロナ禍で部活動が次々と制限され、楽しみにしていた合宿も中止になる中、望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」も今年は開催できないだろうと悩んでいた。真宙(まひろ)は渋谷区立ひばり森中学の一年生。27人しかいない新入生のうち、唯一の男子であることにショックを受け、「長引け、コロナ」と日々念じている。円華(まどか)は長崎県五島列島の旅館の娘。高校三年生で、吹奏楽部。旅館に他県からのお客が泊っていることで親友から距離を置かれ、やりきれない思いを抱えている時に、クラスメイトに天文台に誘われる――。
コロナ禍による休校や緊急事態宣言、これまで誰も経験したことのない事態の中で大人たち以上に複雑な思いを抱える中高生たち。しかしコロナ禍ならではの出会いもあった。リモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。スターキャッチコンテストの次に彼らが狙うのは――。哀しさ、優しさ、あたたかさ。人間の感情のすべてがここにある。(Amazonより)

辻村深月プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。(Amazonより)

 

 

インタビュー

 

―――一緒に体験しているような、こんなに素敵な青春を、もう一度彼らと体験している気持ちになれて、読後すごく幸せな気持ちでいっぱいでした。

 

辻村さん:

嬉しいです。胸を張って今、一番の自信作って思っている小説。

 

三密を避けてできる部活って何だろうっていうのをまず考えたんですね。天体観測は屋外なので出来るのではないかと。単純な思い付きで天文部にしようと飛び込んだ。

 

―――星のことは全く分からなくて...。こんなにもロマンがあって、今まで知らなかったのがもったいないぐらい素敵なものですよね。

 

辻村さん:

スターキャッチコンテストという天体望遠鏡で星を見つける速さを競う大会が出て来るんですけど、(実際にあるものなんですか?)そうなんです。宇宙はいろいろ大きいし、距離があって壮大なので、主人公たちが空のことを考えたり、宇宙の時間の流れを考えていくと、これもあれも出来ないというところで抱えている悩みから、ちょっと自由になる。

 

学生の時って、やりたいことは見つけても、それが何の役に立つかに縛られがち。役に立つ、立たないではなく、楽しいからやるでいいのではないかと思うんですよね。

 

―――自分が好きなことを好きなだけやるってちょっと勇気がいる。この作品を読んで、一歩踏み出すことで自分に得られるものがあるんじゃないかって感じました。

 

*読めば思わず星空を見上げたくなる青春小説です。

 

 

 

ひとこと

 今日は、辻村さんのお話を聴いているだけで、物語の様子が頭の中に描ける感じがしました。とてもクリーンな青春小説の印象です。確かにこのコロナ禍で、学生さんたちは学校へも行けず、どれだけ辛い思いをしたかと。でも、こんな繋がりもどこかにあったのかも?なんて思いました。「スターキャッチコンテスト」、初めて聞きましたが、天文関係でもこのようなコンテストが実存するのですね。ネーミングもロマンチックですね。ちょっと気になります。それでは、また来週。

 

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