タワマンは憧れの住処か?
近年、タワーマンション(以下タワマン)に住むことがひとつのステータスになっているようだけど、果たしてタワマンは、本当に居心地の良い住処になるのだろうか?
そこで調べてみる、こんなデメリットがあった。
管理費や修繕積立金が高い
騒音トラブルが起きやすい。
高層階はベランダに洗濯物を干せないことが 。
平日の朝、エレベーターが混雑する 。
共用施設は使わない人にはメリットがない 。
携帯電話やポケットWi-Fiがつながりにくい場合がある 。
インターネット回線が遅延することが。 (SUMOより)
結構意外な問題点があるものですね。よくニュースなんかで見るのは、エレベーター問題。あと、地震や停電も。決して倒れたりすることはないのでしょうが、長い時間揺れ続けたり、停電でエレベーターが動かない。そうなると上下間の移動も階段。体力がなければ高層階は難しい。家族にお年寄りがいる場合や、自分の老後を考えるとやはり難しそう。メリットもたくさんあるけれども、やはり毎日のことを考えるとデメリットも無視はできない。
そんなタワマン、どんな人々が、どんな生活をしているのだろうか。....という、興味深い内容を扱った小説が1月30日にKADOKAWAから出版される。
「息が詰まるようなこの場所で」:外山薫
内容
タワマン文学の先駆者、窓際三等兵の作品を元にした初の書下ろし長編小説!
タワマンには3種類の人間が住んでいる。資産家とサラリーマン、そして地権者だ――。大手銀行の一般職として働く平田さやかは、念願のタワマンに住みながらも日々ストレスが絶えない。一人息子である充の過酷な受験戦争、同じマンションの最上階に住む医者一族の高杉家、そして総合職としてエリートコースを歩む同僚やPTAの雑務。種々のストレスから逃れたいと思ったとき、向かったのは親友・マミの元だった。かつては港区で一緒に遊び回り、夢を語り合った二人だったが――。
幸せとはなんなのだろう。逃げ場所などない東京砂漠を生きる人々の焦燥と葛藤!
※紙書籍版カバー裏には、特別短篇「高杉隆の初恋」を収録(電子版には収録されません)。※電子書籍版巻末には、特別短篇「目黒奈々子の後悔」を収録。(Amazonより)
タワマンに住むには年収1000万以上は必要と聞いているけれど、やはり住んでいる人は、勝ち組なんでしょうね。まぁ、場所にもよりますが。本書はそんなタワマンに住む人々を描いた作品。外山さんのインタビュー記事を拝読しましたが、タワマンに住むってことは、それだけで物語になることがたくさんあるようだ。そして、タワマンを購入したことが必ずしもゴールではないことも。
著者について
外山薫(とやま・かおる) 慶応義塾大学卒、37歳。 大手メディアの記者を経てIT企業に転職。2022年から兼業作家として活動を始めた。
さて、著者の外山さんはどうしてタワマン文学を書くことになったのか?これがまた興味深い。本がなかなか売れないという出版業界。そんな中、出版社がツイッターやSNSで話題になっている人に声をかけて本を出すという形式が増えているそう。確かに、ここ最近、「Twitterで話題!」なんて本がやたら多い。外山さんもそんな流れに乗ったそうだ。本業をしながら執筆活動に励んだとのこと。
タワマン文学
今回この小説のことを調べていて知った言葉です。なんでも、「タワマン文学大賞」なるものもあるみたいですね。
私が読んだ小説でタワマンと言えば、桐野夏生さんの小説「ロンリネス」。若い家族がたくさん住むタワマンでの人間模様を描いた作品なのですが、これがもう酷いというか....人間関係のトラブルが多いということだが、実際こんなことが起きているのか?と、色々想像が膨らんでしまった。ゾッとします。
もう一冊、こちらはタワマンではなく社宅。有吉佐和子さんの「夕陽ヵ丘三号館」。少し前の時代の社宅生活をしている主婦たちの様子を描いたもの。こちらも人間関係がいろいろありますが、まだかわいいものだったかも!?
人が集まって生活するところには、いつの時代もトラブルが付きもの。しかし、そのトラブル内容も時代によって変化していく感じが、二つの小説を読み比べるととよく分かります。
後記
それにしても、人口がどんどん減っていく中、都心ではまだまだ高層マンションが増え続けている現状。どうするんだろう、そのうち空き家とか増えそう。そして、あと数十年で老朽化問題とかも出て来るだろうし。修繕費とかどんどんかさむだろうし。...と、他人事ながらも心配。いや、タワマンに住む人の経済力なら、そのあたりは要らぬ心配かぁ。
ということで、住んでいる方も、タワマンに住んでみたい方も、そして、私みたいに住めないけど覗いてみたいなんて人にも、興味深い1冊だ。タワマンを眺めながら読んでみるのも良さそう。