王様のブランチ・BOOKコーナーで紹介された本を紹介します。
アミュレット・ホテル:方丈貴恵
内容
警察の介入が一切なく、偽造パスポートでもグレネードランチャーでもルームサービスでお届け可能な犯罪者御用達ホテル。そこでは守るべき2つのルールが存在する。①ホテルに損害を与えない。②ホテルの敷地内で障害・殺人事件を起こさない。そんな絶対的なルールが破られる時、ホテル探偵が独自の捜査で犯人を追い詰める。(Amazonより)
方丈貴恵プロフィール
1984年兵庫県生まれ。京都大学卒。在学時は京都大学推理小説研究会に所属。2019年『時空旅行者の砂時計』で、第29回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。長編第二作の『孤島の来訪者』は、「2020年SRの会ミステリーベスト10」第1位に選出されている
インタビュー
―――すごいシンプルなんですけど、めちゃくちゃ面白かったです。このホテルで一体何が起こるんだろうって、すぐにページをめくりたくなりました。
方丈さん:
ありがとうございます!
―――最初の印象はこんなホテルがあったらおそろしいなと思ったんですけど、読んでいくうちにちょっとずつ愛着がわいてきてしまって。
方丈さん:
嬉しいお言葉ですね。現実にあったら困るんですけど、心のどこかでファンタジー的な意味もあってほしいと自分の中で思うホテルを書いて行ったような形。
海外の映画で「ジョン・ウィック」出て来る「コンチネンタル・ホテル」にインスパイアを受けたようなかたちで生まれたホテルなんです。そのホテルから着想を得つつ本格ミステリとしての面白さと、ホテル探偵が登場すると思うんですが、その要素と組み合わせて新しい面白さを作れないかと模索して作っていったものが「アミュレット・ホテル」です。
―――ホテル×殺し屋×ミステリですね。この作品は全員が犯人になり得る過去だったり、経歴があるので、全員が疑わしい!っていう。
方丈さん:
そうですね。疑わしくない人がまずいないような状況ですからね。
―――世界中でいろんなトリックだったり仕掛けが書かれている中で、新たなトリックや仕掛けを探すのって大変じゃないですか?
方丈さん:
確かに全く前例のない新しいトリックというのは、なかなか作るのは今の時代だと難しくなっているんですが、既存の古典的と言われるトリックも、新しい要素を足したり、何か別のものと組み合わせた時、思わぬ化学反応が起きて新規性を持ったものに変わることがあるので、そういったものをよく使っています。
―――今作で意識したことは?
方丈さん:
エンターテイメント性を上げたいなと思っていた。本格ミステリの時もエンターテイメント性を上げたいなと思っていたんですが、なかなか過去作ではうまく融合できていなかった。本格ミステリのおもしろい要素をギュッと詰め込んで濃厚にしつつ、エンターテインメント性を高めで、わりと読み易くて楽しいみたいな話を目指したところもあります。
*ホテル探偵が鋭い推理で犯人を炙り出す、本格ミステリーです。
ひとこと
登場人物は悪人ばかりだそうです。こうなると読者の推理も忙しくなり、先が気になって仕方ない読書になりそうですね。これはノンストップで読みたい系のミステリーじゃないかと。余談ですが方丈さん、高学歴ですね~。学生時代から推理小説研究会に所属していたとか。本当にミステリーがお好きそう!新しいトリックを期待しています。それでは、また来週。
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